仏カルナックの巨石群、地中探査で未知の立石発見
フランス北西部ブルターニュ地方のカルナックで、考古学者チームが地中を探る地球物理学的な技術を使った調査を実施し、これまで知られていなかった立石や墳墓、調理用とみられる石の跡を新たに見つけた。調査結果は学術誌「Archaeological Prospection」に発表された。
何が起きたのか
考古学コンサルタント会社ArchéoSolutionのギヨーム・ブリュニオー氏らのチームは、カルナックの約2.5ヘクタールの範囲を対象に、地中を透視する地球物理学的な手法を使って調べた。その結果、地表からは見えなかった立石の列(これまで調査されていた範囲の外側にある短い列も含む)や、墳丘墓、調理に使われたとみられる石を敷き詰めた穴などが確認された。これにより、カルナックの巨石群がこれまで考えられていたよりも広い範囲に広がっていることが分かった。
背景
カルナックには、6000年以上前にこの地の農耕民が立てたとされる約3000本の石が、4キロメートル以上にわたって連なっている。東側には低い石、西側には高さ4メートル近くにもなる石が配置され、半円形や長方形に石を並べた囲いも作られた。石のそばにはかまどのような跡もあり、調理や明かりのために使われたとみられる。周辺には土を盛った塚や巨石を使った墓も点在し、一帯は死者を弔う神聖な場所でもあったようだ。
これほど重要な遺跡でありながら、カルナックでは本格的な発掘調査があまり行われてこなかった。19世紀以前は個人による散発的な発掘にとどまり、1920年代から1940年代前半にかけての調査を除けば、主眼は保存と保護に置かれてきたという。2025年には「カルナックとモルビアン湾岸の巨石群」としてユネスコの世界遺産に登録され、その重要性が国際的に改めて認められた。
なぜこれほど大規模な石の建造物が作られたのかについては、太陽や月の動きを観測するための装置だった、巨大な暦だった、あるいは伝説にある「石化した兵士たち」だったなど諸説あるが、決め手となる証拠は乏しい。当時の建造者たちは、刻んだ記号や文様の意味を説明する文字や記録を残さなかったためだ。同様の謎は、スペイン南部やスロバキアなど欧州各地の巨石遺跡でも指摘されており、近年はレーザー測量やドローンを使った調査で、未記録の遺跡や風化した彫刻の解読が進んでいる。
日本にとっての意味
カルナック列石は、ストーンヘンジと並んで欧州の巨石文化を代表する遺跡として日本でも比較的知られている。ただ、今回のように地中探査といった非破壊の調査技術によって、世界遺産に登録された著名な遺跡でさえまだ全容が把握されていないことが明らかになった点は興味深い。日本国内でも古墳や遺跡の調査でレーダー探査や航空写真解析が使われているとされ、地面を掘らずに遺跡を「見る」技術は世界共通の潮流になっているという指摘がある。海外の著名な観光地・世界遺産で今も新発見が続いているという事実は、遺跡が「完全に解明された過去」ではなく、技術の進歩とともに更新され続ける研究対象であることを教えてくれる。