コンゴのエボラ出血熱流行、死者1000人超 致死率40%
コンゴ民主共和国で流行しているエボラ出血熱が、国内の一部地域に集中したまま深刻さを増している。感染が広がるイトゥリ州には、最大100万人のコンゴ人が身を寄せる難民キャンプがあり、原因となっているウイルスは過去に例の少ない型だという。
何が起きたのか
米国の感染症専門メディアによると、現地時間7月22日時点で、コンゴ民主共和国で続くエボラ出血熱の流行による死者は1,035人、感染が確認された人は2,557人となった。感染が確認された人のうち死亡した人の割合を示す致死率は40%に上る。
流行の9割はイトゥリ州に集中しているという。同州には難民キャンプが複数あり、最大100万人のコンゴ人が身を寄せているが、水や衛生設備が乏しい状態だとされる。第2次トランプ政権が対外援助を削減して以降、こうした状況はさらに悪化しているという。米紙ニューヨーク・タイムズによれば、トイレや手洗い場の整備に充てられる資金は、2024年から2025年にかけて半分以下に減ったという。
今回の流行は、コンゴ民主共和国では17回目のエボラ流行にあたるが、原因となっているウイルスの型「ブンディブギョ型」によるものは、歴史上3例目にあたるという。
背景
エボラ出血熱は、感染すると高熱や出血などを引き起こし、致死率が高いことで知られる感染症だ。ウイルスにはいくつかの型があり、これまでに開発が進んできたワクチンや治療薬は、主に「ザイール型」と呼ばれる型を対象にしたものだとされる。今回流行しているブンディブギョ型は発生自体が少なく、対応できる手立てが限られている可能性がある。
17回目という流行の回数は、コンゴ民主共和国がエボラの発生を繰り返し経験してきたことを示している。そのたびに国際社会からの支援を受けて封じ込めを図ってきた経緯があるとみられるが、今回は主要な支援国である米国が対外援助を絞り込んでいる局面と重なった。難民キャンプという、そもそも感染症が広がりやすい環境に、衛生インフラの不足という要因が加わっている状況であり、流行の広がりを注視する必要がある。
日本にとっての意味
日本からコンゴ民主共和国イトゥリ州への渡航者は多くなく、この流行の影響が日本人の健康に直接及ぶ可能性は今のところ小さいとみられるが、知っておく理由はある。日本の感染症法では、エボラ出血熱は最も警戒レベルの高い「一類感染症」に分類され、発生時には「特定感染症指定医療機関」など限られた医療機関で対応する仕組みになっているとされる。国内で広がる可能性は低いとみられるが、それだけ危険度の高い感染症が、資金不足の続く地域で拡大しているという事実は、国際保健の観点から軽視できない。
日本は世界保健機関(WHO)など国際保健分野への資金拠出国の一つであり、米国が支援を絞る中で、その穴を誰が埋めるのかという論点は今後の国際保健協力のあり方にも関わってくる。