感染症・健康

病院勤務者のコロナ後遺症、有病率は3〜5% スペイン3病院調査

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スペイン・バルセロナのポンペウ・ファブラ大学などの研究チームが、公立病院3カ所で働く医療従事者を対象にコロナ後遺症(long COVID)の有病率を調べたところ、2020年から2023年にかけてコロナに感染した人のうち後遺症とみられる人の割合は3%から5%だったとする結果を、学術誌「BMC Public Health」に発表した。年齢が上がるほど、また一部の職種で有病率が高くなる傾向がみられたという。

何が起きたのか

研究チームは、スペインの公立病院3カ所の産業保健記録をもとに、2020年から2023年の間にコロナと診断された医療従事者8441人分のデータを分析した。その結果、後遺症の有病率は病院ごとに4.9%、5.0%、3.0%だった。年齢との関係では、1歳上がるごとに後遺症とされる人の割合が3%から9%ずつ高くなる傾向があり、50歳以上の層で最も高い割合となった。

職種による差もみられた。3病院いずれでも、看護助手は医師より一貫して後遺症の割合が高かった。研究チームは、業務による感染リスクの違いや患者と接する時間の長さ、身体的な負担、勤務条件などが影響している可能性があるとみている。性別で見ると傾向はさらに複雑で、女性では、ある病院の看護助手が医師の約3倍、男性でも、ある病院の看護師では医師の2倍を超える割合だった。別の病院の男性看護助手ではさらに高い数字も出たが、対象となった人数がごく少なく、研究チーム自身が数値の幅(信頼区間)が広いことを注意点として挙げている。研究チームは論文で「職種と性別の両方を踏まえた産業保健上の見守りと追跡の仕組みが重要だ」と述べている。

背景

コロナ後遺症の有病率をめぐっては、これまでの研究で15%から70%超まで、報告によって大きな開きがあった。今年に入って発表されたスイスの研究では、2024年までのデータをもとに最大60%という数字も示されている。今回のスペインの調査結果である3〜5%は、こうした過去の報告に比べるとかなり低い。後遺症の定義や症状の確認方法が研究ごとに統一されていないことが数字を大きく動かしている可能性があり、研究チームは今後は標準化された定義とデータ収集方法を使った研究が必要だと呼びかけている。つまり今回の数字が「実態がそれだけ軽い」ことを意味するとは限らず、どういう基準で「後遺症あり」と数えたかによって結果が変わりうる、という点がこの調査の要点といえる。

日本にとっての意味

日本の病院でも、コロナ感染後に体調不良が長引く職員への対応は、産業医や健康管理部門にとって現実的な課題になってきたとみられる。今回の調査が示すように、後遺症の割合は年齢が上がるほど、また職種によっても差が出る可能性がある。医師や看護師といった資格職だけでなく、看護助手のような周辺職種も含めて職種別に状況を把握しないと、実態を取りこぼす恐れがあるという指摘は、日本の医療現場にもそのまま当てはまりうる論点だ。日本でも医療・介護分野の人手不足が続く中、コロナ後遺症による休職や離職が現場の負担をさらに重くしているという懸念は以前から指摘されており、復職の判断や勤務時間の調整をどう設計するかは各病院の労務管理に関わる問題だ。また、コロナ後遺症をめぐっては労災認定の扱いも論点になっているとの指摘があり、年齢層や職種ごとの発生傾向を示すデータは、そうした制度運用を考えるうえでの参考材料になり得る。ただし今回の数字はスペインの3病院に限られたものであり、日本の医療現場の年齢構成や勤務体制がそのまま当てはまるわけではない点には注意が必要だ。