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帰属間違いのまま眠っていた静物画、ノルウェーで女性画家の作品と判明

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ノルウェー国立美術館(オスロ)の収蔵庫で何十年も眠っていた17世紀の静物画が、フランドルの女性画家クララ・ペータースの作品として、10月に開幕する展覧会で初めて公に紹介されることになった。これまでこの絵は、著名な画家ヤン・ブリューゲル(父)の息子アンブロシウス・ブリューゲルの作品とされていた。

何が起きたのか

問題の作品は「金の高坏に載った小獣とブドウのある静物」(制作年は1620年頃)。ノルウェー国立美術館は1845年にこの絵を貴重な収蔵品として取得した。当初はアンブロシウス・ブリューゲルの作とされていたが、同館の学芸員シンシア・オシエツキ氏によると、20世紀初頭に専門家がこの帰属を否定し、以後は収蔵庫の中で長く展示されないままになっていたという。2022年に同館の学芸員がこの作品を見いだし、実際の作者はクララ・ペータースだと判明した。

この絵は現地時間の10月8日に開幕する展覧会「Woman Painter」で公開される。同展は、歴史の中で見過ごされがちだった他の女性画家18人の作品とあわせて、この静物画を展示する。

背景

クララ・ペータースは17世紀初頭のアントワープ(現在のベルギー)で活動したとされる静物画家で、食卓や器を精密に描いた作品で知られる。当時のフランドル美術の世界では、静物画は男性画家の得意分野とされることが多く、女性画家の作品は男性の弟子や親族の作とみなされて記録される例が少なくなかったとされる。今回のように、後世の研究で帰属が見直され、忘れられていた女性画家の名が回復されるケースは、近年の美術史研究でたびたび報告されている。

美術館が収蔵する作品の帰属は、購入時の記録や様式の見立てに基づいて決まることが多く、一度「別人の作」とされると、その後何十年も再検証されないまま収蔵庫に留め置かれることがある。今回のケースも、20世紀初頭に一度否定された帰属がそのまま長く放置され、2022年に学芸員が改めて調査するまで表舞台に出ることがなかった。

日本にとっての意味

収蔵品の「作者が実は違った」という問題は、日本の美術館でも現在進行形で起きている。徳島県立近代美術館は2025年11月、フランスの画家ジャン・メッツァンジェの作品として1999年に6720万円で購入し26年間所蔵してきた油彩画「自転車乗り」が贋作だったと発表した。外部からの指摘を受けて東京文化財研究所が絵の具を科学分析した結果、制作年とされる1911〜12年には存在しなかった20世紀半ば以降の合成顔料が検出され、購入先の画廊が代金を返金する事態となった。オスロの事例が「無名扱いだった絵に本当の作者の名が戻った」話なら、徳島は「大家の名で買った絵からその名が剥がれた」話で、方向は逆だが根は同じだ。購入時の鑑定や通説は絶対ではなく、収蔵庫の作品も検証され続けなければならないという教訓である。

もう一つの文脈である女性画家の再評価も、日本で同時に進んでいる。大阪中之島美術館が2023年末から2024年にかけて開いた「決定版! 女性画家たちの大阪」展は、島成園ら近代大阪で活動した女性日本画家59人の186点を集め、「女性画家は美人画だけ」という長年の定説を覆してみせた。オスロの「Woman Painter」展とほぼ同じ問題意識の展覧会が、すでに日本でも成立している。ペータースの静物画が正しい名前で壁に掛かるまで取得から180年余りかかったことを思えば、いま各地で進む再検証と再評価の作業は、将来の美術史の書き換えに直結する地道な投資だと言える。