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アンゴラの首都に、既存の樹木を囲んで建てた図書館が完成

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アンゴラの首都ルアンダの技術パーク中心部に、敷地に生えていた成木を伐採せずに残し、その木々を囲むように設計された図書館が完成した。設計はスペインの建築事務所Typsa Arquitectura。曲面を描くコンクリート屋根には円形の開口が点在し、残された木々を額縁のように縁取る。英国のデザイン媒体Dezeenが2026年8月14日付で伝えた。

何が起きたのか

図書館の規模は1915平方メートル。敷地を更地にするのではなく、もともと生えていた成木の位置に合わせて建物の輪郭、内部の空間構成、屋根の形を決め、植栽を施した中庭の連なりとして図書館全体を組み立てた。主任建築家のマリナ・ゴンサレス・スアレス(Marina González Suárez)氏はDezeenに対し「文化や時代を問わず、木陰は人が集まり、学び、語らい、憩うための自然な場所であり続けてきた」と述べ、「成木がこのプロジェクトの設計を生み出す出発点になった。先に建物を決めてから風景を合わせるのではなく、建築のほうが木々の周りに育っていった」と説明している。

屋根は敷地の上で膨らんだり絞られたりしながら連続し、ところどころで円形の開口となって、残された木々を囲む。鉄筋コンクリートのスラブと細い鉄骨柱で支えられ、ガラスのファサードより外まで張り出して、日陰の通路と深い庇を作る。内部では通常の廊下を設けず、植栽の中庭を巡る緩やかな曲線の動線が各空間をつなぐ。

建物は一般利用者向けの2フロアと設備専用階で構成される。1階には正面エントランス、閲覧エリア、事務室、多目的講堂が並び、木の大階段で上がる2階では、メインの閲覧室が周囲の公園を見渡すテラスへと続く。プロジェクトディレクターのホアキン・ベルトラン・デル・コラル(Joaquin Beltran Del Corral)氏は「空間の連なりは、直感的でくつろいだ体験を促すよう設計した」と述べ、「一本道の順路をたどるのではなく、訪れた人は互いにつながった環境を移動しながら、異なる眺め、スケール、活動に少しずつ出会っていく」と説明した。

背景

木を残す設計は、意匠だけでなく建物を冷やす仕組みの核でもある。屋根は居住空間から切り離された通気式の二重構造で、層の間を空気が流れ続けることで、熱が室内に届く前に逃がされる。これに建物を通り抜ける風と木々の日陰が加わり、日射による熱の取得を抑える。曲面のガラスファサードは、太陽の向きに合わせて回転する背の高い可動ルーバー(ブリーズソレイユ)が覆う。ラッカー塗装のアルミ製で、事務所によればアンゴラのモダニズム建築で広く使われてきたブリーズソレイユを現代的に再解釈したものだ。格子状の影が白い曲面の内装に落ち、時間とともに移ろう。

Typsa Arquitecturaは1966年にマドリードで設立された、エンジニアリング会社Typsaの建築部門。欧州、アフリカ、中東で公共施設、教育施設、交通インフラなどを手がけてきた。Dezeenは木の下にいる感覚を主題にした図書館の類例として、樹木のような柱が並ぶ北京城市図書館も挙げている。

日本にとっての意味

「木を残すか、切るか」は日本でも公共空間の大きな争点になっている。東京の明治神宮外苑の再開発では、樹木の伐採を伴う計画に批判が集まり、2023年9月には文化遺産保護の国際NGOイコモスが計画撤回を求める「ヘリテージ・アラート」を出した。伐採の是非を巡る対立が続く日本に対し、今回の図書館は、設計の出発点そのものを既存の木々に置けば建築と樹木は両立できることを示す実例で、再開発や公共施設の計画に別の選択肢を提示している。

もう一つの接点は、機械に頼らない環境調整だ。日本では2025年4月から改正建築物省エネ法により、原則すべての新築建築物に省エネ基準への適合が義務づけられた。通気式二重屋根、通風、木陰、可動ルーバーを組み合わせて冷房負荷そのものを減らす今回の手法は、猛暑が常態化する日本の公共建築が空調設備の増強だけに頼らずに済む道筋として参考になる。アンゴラの建築がこうした具体的な工夫とともに日本で紹介される機会はほとんどなく、その点でも海外専門メディアだけが伝える話題といえる。