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仏大統領選候補アタル氏、2週間で4件のロシア系疑い工作の標的に

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フランスのルネサンス党党首で大統領選の候補となっているガブリエル・アタル元首相が、ロシア系とみられる情報操作の相次ぐ標的になっている。仏放送局BFMTVが現地時間8月21日(金)に伝えたところによると、新たに判明した2件を含め、2週間で計4件の疑わしい工作がアタル氏に向けられた。同様の手口は他の有力候補にも及んでいる。

何が起きたのか

BFMTVの報道によると、直近で確認された1件は、現地時間8月19日(水)にSNS上で拡散した偽の報道記事や偽の新聞1面、計10点にのぼるものだった。内容はアタル氏の健康状態に関する虚偽の情報や、根拠のない汚職疑惑を含んでいたという。

もう1件は現地時間8月12日のもので、パリのパンテオンにアタル氏を風刺した映像が投影される様子を描いたAI生成動画だったという。映像の一部には、侮辱的なメッセージも添えられていたと伝えられる。

同様の被害は他の有力候補にも広がっている。オリゾン党党首で元首相のエドゥアール・フィリップ氏、欧州議会議員のラファエル・グリュックスマン氏も、いずれも大統領選の候補として名前が挙がる人物だが、最近同種の工作の標的になったとされる。アタル氏側の弁護士は現地時間8月7日に「外国からの介入」を理由に告発したと明らかにし、グリュックスマン氏も現地時間8月12日に同様の告発を行った。

背景

今回の一連の工作が「ロシア系」とみられている根拠について、報道は詳細を明らかにしていない。ただ、欧米では近年、選挙期間中にSNS上で偽の報道機関を装ったアカウントや偽サイトを使い、特定候補の評判を落とす情報操作がたびたび確認されており、フランス当局はこうした手口をロシアの情報機関や関連組織によるものと繰り返し指摘してきた。

パンテオンへの投影を描いたAI生成動画は、生成AI技術の普及によって、実際の映像と見分けにくい偽コンテンツを安価かつ短期間で作成できるようになったことを象徴する事例といえる。文字情報の偽装(フェイクニュース記事や偽の新聞紙面)に加え、映像を使った印象操作という、より受け手の感情に訴えやすい手法が組み合わされている点が今回の特徴とみられる。

フランスでは次期大統領選に向けて有力候補が絞られつつあるとみられ、こうした時期は情報操作の標的にされやすいという指摘が専門家の間でしばしばなされてきた。

日本にとっての意味

今回の事例が示すのは、特定の候補を狙った偽情報工作が、単発ではなく短期間に複数回、手を変えて仕掛けられるという実態である。健康不安をあおる偽記事、根拠のない汚職疑惑、AI生成動画による侮辱的な演出という異なる手法が組み合わされており、これは選挙介入が一度きりの事件ではなく、継続的な圧力として機能しうることを示している。

日本でも、選挙期間中にSNS上で候補者に関する真偽不明の情報が拡散する事例はすでに起きており、生成AIを使った偽動画や偽音声の技術的なハードルは年々下がっている。フランスのように大統領一人に権力が集中する制度ではないにせよ、国政選挙や地方選挙で同種の手口が使われる可能性は否定できない。今回のような事案でフランス当局や候補者側がどのように対応し、告発や検証を進めていくのかは、日本の選挙管理や情報リテラシー教育を考えるうえでも参考になる先行事例となりうる。