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コンゴ民主共和国とM23、ドーハ和平の工程表に合意

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コンゴ民主共和国政府と、ルワンダの支援を受けるとされる武装勢力M23(正式には「AFC/M23」)が、和平交渉を今後どう進めるかを定めた工程表に合意した。現地時間の8月17日から21日にかけてスイスで開かれた協議の結果であり、スイス政府が共同声明として発表した。停戦違反の申し立てを共通の方法で報告する仕組みでも一致し、双方の信頼構築に向けた一歩とみられている。

何が起きたのか

合意された工程表は、カタールの首都ドーハで進められてきた枠組み(ドーハ・フレームワーク)に沿って、交渉を段階的に進めるための日程と手順を定めたものだ。双方は、包括的な和平合意の実現と紛争解決に向けて交渉を続けることを改めて確認した。あわせて、停戦違反の疑いを報告する際の統一的な方法にも合意した。

停戦の履行状況を確認する検証の枠組み「MCVE+」のもとでは、最初の現地検証活動が、南キブ州のミネンブウェで実施される予定だと発表された。協議ではこのほか、MCVE+の事務局設置や、ドーハ・フレームワークで約束された内容の履行状況を点検し課題を洗い出すための仕組みづくりについても話し合われた。

米国のトランプ政権でアラブ・中東問題担当上級顧問およびアフリカ担当上級顧問を務めるマサド・ブーロス氏は、この進展を歓迎する声明をSNSに投稿した。声明で同氏は「8月17日から21日にスイスで開かれた協議で、ドーハ・フレームワーク合意の継続に関して追加の進展があったことを歓迎する」と述べ、カタール、トーゴ、スイス、アフリカ連合委員会など仲介にあたった各国・機関の役割を評価した。

一方、政治アナリストのクリスチャン・モレカ氏は今回の合意を一定の前進としつつも、交渉は依然として初期段階にあると慎重な見方を示している。同氏によれば、今回まとまった停戦関連の取り決めは、ドーハ・フレームワークで想定されている7つの合意文書(プロトコル)のうち最初の1つの一部にすぎず、残る6つはまだ署名に至っていない。双方が仲介者からの圧力を受けながらもそれぞれの利害を守ろうとしており、軍事行動が再燃する可能性も残っているという。

背景

コンゴ民主共和国東部では、ルワンダ国境に近い北キブ州・南キブ州を中心に、M23をはじめとする複数の武装勢力が活動しており、政府軍や国連平和維持部隊との衝突が繰り返されてきた。M23は2012年に一度台頭した後、近年再び勢力を拡大した。国連などはルワンダ政府がM23を支援していると指摘してきた。

この紛争は長年、住民の大規模な避難や人道危機を引き起こし、コンゴ東部を含む「グレートレイクス地域」全体の不安定化につながってきた。米国の仲介などを背景にカタール・ドーハでの交渉枠組みが動き出したが、外交努力は停滞と戦闘再燃を繰り返し、思うように進んでこなかった。今回のスイスでの協議とそれに続く工程表合意は、こうした行き詰まりを打開しようとする試みの一つに位置づけられる。ただしアナリストが指摘するとおり、対象となっている合意はまだ全体の一部にとどまり、今後、残るプロトコルの交渉や、現場での停戦検証・違反申告の運用が実際に機能するかどうかが焦点になる。

日本にとっての意味

コンゴ民主共和国は、電気自動車やスマートフォンのバッテリーに使われるコバルトの世界供給の大部分を占めるとされる。北・南キブ州を含む東部での戦闘や治安悪化が長引けば、物流の混乱や国全体の不安定化を通じて資源供給への懸念材料となりうるとの見方があり、コバルトを含む電池材料を調達する日本の自動車メーカーや電子部品メーカーにとっても無縁ではない。

過去にもコンゴ東部の武装勢力による混乱が資源価格の変動要因として取り沙汰されてきた経緯があり、今回の工程表合意が実際の停戦履行や治安の安定につながるかどうかは、鉱山周辺の操業環境や調達リスクを左右しうる。もっとも、モレカ氏が指摘するように交渉はまだ初期段階で、7つのプロトコルのうち署名済みは一部にとどまる。今後、検証の枠組みが機能し、残る協定の交渉が進むかどうかを継続的に注視する必要があり、単発の合意報道だけで供給リスクが解消したと判断するのは早計と言える。