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英建築家登録制度、実務経験2年要件を撤廃

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英国で建築家の登録を管轄する建築家登録委員会(ARB、Architects Registration Board)が、登録に必要とされてきた実務経験2年の要件を撤廃すると発表した。研修中の実務経験(PPE、Professional Practical Experience)をめぐる改革の一環で、学習機関向け基準の改定、雇用主と研修生向けの新しい指針、研修生の経験記録制度の新設もあわせて行う。デザイン誌Dezeenが8月19日付で伝えた。

何が起きたのか

PPEは、研修生が建築設計の実務の中で経験を積む期間で、英国で建築家として登録するために必要とされている。ARBによれば、今回の変更は研修生に「より明確で一貫した支援」を提供し、登録までの道筋を改善することを狙う。

新しい要件は2028年12月に発効する見込みで、少なくとも2年の実務経験を積んだことという現行の要件は廃止される。代わりに、期間は個々人の訓練と実務経験に応じて変わることになる。

ARBのアラン・カーショー委員長は「私たちの狙いは、すべての研修生が質の高い実務経験と、登録に必要な力量を育てるための支援を得られるようにすることだ」と述べ、「本日公表した実務経験の新しい枠組みは、学習機関に対し、座学と実務経験を統合するより大きな柔軟性を与える。研修生にとっても、PPEに何を期待できるのか、指導や支援をどう受けられるのかが格段に分かりやすくなる」と説明している。

この変更が登録に求められる水準を下げるのではないかという懸念に対しては、ARBは、申請者が同委員会の定める「力量到達目標(Competency Outcomes)」をすべて満たしたことを示す資格が引き続き必要になると強調している。

背景

今回の発表は、2025年に1年がかりで行われたPPEの見直しと、それを受けて2026年前半に実施された意見公募(コンサルテーション)の結果を踏まえたものだ。カーショー委員長は「意見公募で寄せられた声が、提案をさらに強化し磨き上げる助けになった。登録に求められる高い水準を保ちながら、研修生にとってより支援的で柔軟な経験となるよう、変更の形をつくった」と話す。

あわせてARBは、研修生と雇用主それぞれの役割を整理した新しい指針を公表し、学習機関向けの基準改定を反映させて認定ハンドブックも更新した。さらに、研修生・学習機関・雇用主が使う「研修生経験記録(Trainee Record of Experience)」を導入する。実務経験についての「構造化された振り返り」を支えるための仕組みで、ARBが記録を審査することはせず、力量到達目標と登録の要件を満たすうえでの「経験の不足を洗い出す」ために使われる。

新規則は2028年12月31日から適用され、その時点までにすべての資格課程が新しい枠組みへの移行を終えていなければならない。

日本にとっての意味

日本の一級建築士も、試験合格に加えて学歴に応じた年数の実務経験が免許登録の要件となる仕組みで、2020年施行の建築士法改正では、実務経験がそれまでの受験時の要件から登録時の要件へと改められた。「一律の年数」から「経験の中身」へと軸足を移した今回の英国の改革は、実務経験を年数で測ること自体を見直した点でさらに踏み込んでおり、資格制度の設計を考えるうえで参照例になる。

また、英国の建築家資格は日本の建築系の学生や設計者にとっても留学・就労の選択肢の一つであり、登録要件の変更は英国での資格取得を目指す日本人にも直接関わる。2028年12月の発効までに課程の移行が進む間、要件がどう運用されるかは、渡英を検討する人にとって注視する価値がある。