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スコットランドの謎の石造構造物から人骨 用途は専門家も特定できず

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スコットランド北部のドーノック近郊で、石張りの謎めいた構造物の内部から人骨が見つかった。地元の商業考古学会社ハイランド・アーケオロジー・サービシズ(Highland Archaeology Services)が2026年に入って発見したもので、鉄器時代のものとみられるが、構造物が何のために造られ、なぜそこに人が埋葬されたのかは、専門家も特定できていない。

何が起きたのか

発見場所は、エディンバラから約320キロ北にあるドーノックの町の近く。地元の採石場の拡張工事に先立つ発掘調査の最中に見つかった。表土を取り除くと石の輪が現れ、掘り進めると長さ約3メートル、幅約2メートル、深さ約90センチの楕円形のくぼみが姿を現した。内部は石で覆われ、床には石の板が敷かれ、急な階段が下へと続いていた。

構造物の中からは人骨のほか動物の骨、炭や焼け焦げた木片が見つかった。さらに、割れたソープストーン(soapstone、柔らかく加工しやすい石)の器や、頁岩(けつがん)で作られた腕輪の破片も出土した。近くには、古代スコットランドで一般的だった円形住居「ラウンドハウス(roundhouse)」の跡とみられる穴も確認されており、これらの出土品から遺跡は暫定的に鉄器時代のものと考えられている。

共同代表のラクラン・マケギー氏は地元紙ノーザン・タイムズに、「これまで誰も見たことがないものだ」と語った。石は通常のモルタルを使わずに丁寧に組み合わされているが、下層部分は粘土質の粘り気のある物質で接合されており、液体を保持する役割を果たしていた可能性があるという。ただし構造物の規模が小さいことや、入り口が狭く階段が急なことから、単純な貯水施設だったとは考えにくいとされる。マケギー氏は「鉄器時代の風呂だったと想像するのが好きだが、それは推測にすぎない」とも述べており、南側の壁に組み込まれた石は、穀物の脱穀や原料の加工に使う叩き石や研磨石を転用したものとみられている。

遺骨についてはまだ多くが分かっておらず、成人女性の可能性があるとされる段階で、死因の特定は難しいとみられる。遺骨は埋め戻しの途中の堆積物の上に一部が乗るような形で見つかったといい、構造物を意図的に閉鎖する儀式の一環として埋葬された可能性と、すでに使われなくなっていた構造物がたまたま遺体を納める場所として使われた可能性の両方が考えられている。

背景

鉄器時代のスコットランドでは、円形住居ラウンドハウスに人々が暮らし、地下室スーテラン(souterrain、食料の貯蔵や敵からの避難に使われたとされる地下の部屋)のような構造物も各地で見つかっているとされる。今回の遺構は形状がそれらと異なり、地下貯蔵庫、住居に組み込まれた設備、あるいは儀礼用の井戸など複数の可能性が検討されているが、いずれも決め手に欠けるという。

スコットランド北部で鉄器時代の埋葬例が見つかること自体、比較的珍しいとされる。同社によれば、この地域の土壌は酸性度が高く、人骨が良好な状態で残りにくいことが背景にあるという。また、遺構を意図的に閉鎖する際に人や動物の遺骸を納める慣行は、スコットランドの他の遺跡でも報告されている。スカイ島のハイ・パスチャー洞窟では、西暦25年から90年ごろとされる正式な閉鎖の際、埋め立てられた階段の最上部に同様の遺骸が置かれていた例が知られている。

今回の発掘地から約1.6キロ離れた場所には、青銅器時代と鉄器時代の双方の居住痕跡が確認されているキャモア・ウッドの集落があるが、今回の埋葬とこの集落との関連は現時点で不明だという。今後は出土品の分析を進め、地元の博物館への収蔵を目指すとしている。

日本にとっての意味

今回の発見は、採石場の拡張という開発工事に先立つ調査で見つかった点が特徴的だ。日本でも道路や宅地の造成などの開発に伴って埋蔵文化財の発掘調査が各地で行われており、工事の前に地中の歴史が明らかになるという構図は共通している。今回の遺構はまさにその典型例と言える。

また、酸性土壌によって人骨が残りにくいという指摘は、日本の考古学でもなじみ深い論点である。日本では貝塚のように貝殻が土壌をアルカリ性に保つ場所で人骨が良好に保存されると説明されており、逆に酸性の土壌が広がる地域では骨が残りにくい傾向がある。今回のニュースは、なぜ古代の人骨が特定の場所からしか見つからないのかという、日本の遺跡にも通じる仕組みを考えるきっかけになる。