気候・災害

英サマセットで再生資材の野生動物タワー設置、湿地再生の一環

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英国の建築事務所ピアース+(Pearce+)が、サマセットのハニーガー農場に、コウモリ、フクロウ、チョウゲンボウ、無脊椎動物、湿地の生き物のための「野生動物タワー」を建てた。農場で見つかった再生資材でほぼ全体を作っており、サマセット平原の湿地環境を取り戻す大きな計画の一部となる。

何が起きたのか

「核にある考えは、時の試練に耐え、できるだけ多くの種類の生き物に機会を提供する、長期的な野生動物インフラを作ることだった」と、ピアース+創設ディレクターのオーウェン・ピアース(Owen Pearce)氏はDezeenに語った。「タワーはハニーガーの広域の湿地再生の中にある。ここではサマセット野生生物トラストが、かつての農場を再生された湿地の生息環境へ変えつつあり、新しい研究・教育センターも整備している」

タワーの形は、住みつくことを想定した多様な動物たちが決めた。「一つの種のための家を設計するのではなく、いろいろな野生動物が入居できる条件を作ろうとした」とピアース氏。「種によって巣作りやねぐらに適した高さが違うので、タワー全体の高さは対象の動物によっておおむね決まる。たとえばメンフクロウは自然と、高くて守られた営巣場所を探す。上部構造の大きさは、内部に収める各種の巣箱の寸法で決まる」

敷地は定期的に浸水するため、タワーは再生資材で作った石積みの脚の上に立つ。その上の構造は、再生木材と波形の金属板でできている。「敷地の再生という考え方が、タワーの作り方そのものを決めた」とピアース氏は言う。「新しい材料はできるだけ使わず、農場にすでにあった資材を回収して、生き物のすみかという新しい役割を与えたかった」

背景

再生資材の活用は施工に難しさも加えた。「最大の難題は、作業量と不確実性だ。再利用は簡単に聞こえるが、資材を見つけ、掘り出し、運び、洗い、状態を見極め、実際に建物へどう組み込めるかを考えなければならない」とピアース氏。「手元にある資材を想定して設計はできるが、作り始めるまでは常に未知の部分が残る」

メンフクロウ、チョウゲンボウ、コウモリのための専用空間に加え、ピアース氏はより幅広い生き物が住みつくことを期待している。「タワーはさまざまなスケールで働くように作ってある。無処理の木材はガやクモ、ワラジムシなどの無脊椎動物のすみかになる。再生石材のひび割れや空洞には昆虫や小動物が入り込めるし、脚部の開口は両生類や小型哺乳類が使えるかもしれない。基部に積んだ瓦礫と土は、イモリやアシナシトカゲといった湿地の生き物に合う湿った越冬場所(ヒベルナキュラム)になる」

「私たちはインフラを用意しただけで、どう使うかは最終的に野生動物が決める。ある意味で面白いのは、私たちが去った時点では建物が完成していないことだ。住人たちが完成させてくれる」とピアース氏は語った。

日本にとっての意味

生き物のための構造物を人が建て、湿地の再生と組み合わせるという発想は、日本にも先例がある。兵庫県豊岡市のコウノトリ野生復帰では、営巣木の失われた土地に人工巣塔を立て、円山川下流域の湿地再生や減農薬の稲作と組み合わせることで、2005年の放鳥開始から野外の個体数を300羽超まで回復させた。単体の巣箱ではなく、すみかと餌場と水辺を一体で整える点は、ハニーガー農場の取り組みと同じ考え方だ。

一方でこのタワーが付け加えているのは、建設のやり方自体を生態系への配慮に揃えるという視点だ。廃材をその場で資材に変えれば、輸送や新材の製造に伴う環境負荷を抑えつつ、ひび割れや隙間といった「不完全さ」がそのまま生き物の入り口になる。田畑の基盤整備や河川工事で均質な資材を使うことが多い日本の環境整備でも、あえて粗さを残した構造物を生息環境として設計する手法は応用の余地がある。