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ウィーンの美術館で高額ネックレス盗難 入場券を買って犯行

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オーストリア・ウィーンの応用美術館(MAK)で、現地時間の8月27日午後、展示ケースが壊され、白いダイヤモンド673個をあしらったプラチナ製ネックレスが持ち去られた。奪われたのは、ヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)製作、旧エジプト王妃ナズリゆかりの一品で、オークション大手サザビーズによる評価額は約460万ドルとされる。

何が起きたのか

オーストリアの報道によると、男2人は正規に入場券を購入して館内に入り、宝飾品を展示するケースに近づいた。ケースには問題のネックレスのほか、同じコレクションのイヤリングやダブルクリップ型ブローチ、装飾工芸品2点も収められていたが、報道で持ち去られたと確認されているのはネックレスのみである。2人はケースを破壊し、そのまま館外へ逃走したとみられる。館は盗難の事実を声明で認めたものの、捜査が続いていることを理由に詳細な説明は控えている。逃走の経路や防犯カメラの有無、容疑者の身元などは、今回の報道では触れられていない。

このネックレスは、200カラット・673個の白いダイヤモンドをあしらったプラチナ製の作品で、1939年、エジプトのナズリ王妃のために制作されたとされる。王妃の娘フォウズィーヤ王女とイランのモハンマド・レザー・パフラヴィー(のちのイラン最後の国王)との結婚を機に作られた品という。展示は「Glanzstücke」と題され、MAKの所蔵デザインコレクションとヴァン クリーフ&アーペル側から集められた500点以上の作品で構成される企画展の一部だった。

背景

MAKは装飾美術・デザインを専門とする美術館で、宝飾ブランドとの協業展示は、ブランド側が所蔵する歴史的な作品を一般公開する機会として近年よく見られる形式とされる。今回の報道では、盗まれたネックレスが美術館自体の所蔵品なのか、ヴァン クリーフ&アーペル側から貸し出されていた品なのかは明示されていない。

また、犯行の手口として注目されるのは、2人が不正に侵入したのではなく、正規に入場券を買って来館者として館内に入り、その後にケースを破壊して盗んだ点である。

日本にとっての意味

日本では近年、海外の宝飾ブランドや美術館の所蔵品を借りて開催する大型企画展が増えているとされる。今回のような、来館者を装って展示ケースを破壊するという手口は、入場時のチェックだけに頼る警備体制の弱点を突くものであり、貸与品を扱う日本国内の美術館にとっても他人事ではない防犯上の論点となる。

もう一つの接点は、宝飾品の来歴をめぐる情報開示のあり方である。今回の報道でも、被害品が美術館の所蔵品なのかブランド側からの貸与品なのかは明らかにされていない。海外から借り受けた作品を鑑賞する際、その所有者や来歴がどこまで公開されているかに注意を向けることは、美術品や文化財に関心を持つ読者にとって、単なる盗難事件の続報を追う以上の視点を与えてくれる。