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イッタラ、サビーネ・マルセリスと初コラボ 水面の光表現

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フィンランドの老舗ガラスブランド、イッタラが、デザイナーのサビーネ・マルセリス氏との初のコラボレーションとなるコレクション「ウンダ(Unda)」を発表した。ランプと花瓶からなるシリーズで、水面に揺れる光の反射をガラスで再現するために、同社の吹きガラス職人とともに新しい製法をゼロから開発したという。

何が起きたのか

ウンダはラテン語で「波」を意味する言葉から名付けられた3点構成のコレクションで、口吹きガラスによって、水面に揺らめく光の反射を形に留めようとしたものだ。「日光や月光が波打つ水面に当たる様子に魅了されてきた。絶えず変化する、見とれてしまうような踊りだ。それをもっと恒久的な形でとらえたかった」とマルセリス氏はDezeenに語っている。

製法の核心は、溶接した金属の格子を使って、ガラスの内側に波の模様を押し当てる新技術だ。模様を外から施すのではなく、素材そのものの一部に見えるようにするための工夫で、イッタラのクリエイティブディレクター、ヤンニ・ヴェプサライネン氏は「器の内側に模様を押し当てるのは、イッタラがこれまでやったことのない手法だった。難航したが、何度もの試作とワークショップを経て、ようやく成功した」と話す。

完成したのは、光を灯すと波模様が浮かび上がる円筒形のテーブルランプと、同じ波模様の花瓶だ。花瓶には高さ約半メートルの特大版もあり、こちらは500点の限定生産となる。色は、淡いピンクの「ドーン(夜明け)」、淡い茶褐色の「ダスク(夕暮れ)」、煙るようなグレーの「シャドウ(影)」の3色展開だ。

背景

マルセリス氏は、反射や透過といった光の性質を素材で操るデザインで知られ、樹脂の塊のような家具シリーズや、イケアとの協業で人気を呼んだドーナツ形の照明などを手がけてきた。創業145年のイッタラは、アルヴァ・アアルトの花瓶「アアルト・ベース」で世界的に知られる存在で、今回の協業は両者の関心が重なった企画といえる。

企画の発端は、ヴェプサライネン氏とマルセリス氏がフィンランドの光について交わした会話だった。太陽の角度が低く、水面にきらめき、時間とともに色が変わる北国特有の光をどう形にするか。その答えを探るため、マルセリス氏はフィンランドにある同社の工房に通った。この工房は北欧最大のガラス工場で、フィンランドに残る最後のガラス工場でもある。

ヴェプサライネン氏は、ウンダを「水の捉えがたい性質をガラスに封じ込める」というイッタラの系譜に連なるものだと位置づける。「流動性と水の探求はイッタラのDNAの一部だ。水の波紋の本質を最初に捉えたデザイナーはアイノ・アアルトだった。1932年に発表された彼女の波模様のグラスのシリーズは、イッタラで今も生産されている最も古いデザインだ」と述べている。

日本にとっての意味

イッタラは日本でも直営店や百貨店を通じて広く流通し、北欧食器の代表格として定着しているブランドだ。東京・表参道には世界で初めてカフェを併設した直営店があり、内装は建築家の隈研吾氏が手がけた。アイノ・アアルトのグラスやアアルト・ベースは日本の家庭でも定番になっており、今回のウンダも日本の売り場に並ぶ可能性が高い。94年前のデザインが現役で売られ続けるブランドが、新しい製法の開発に投資して次の定番を作ろうとする姿は、伝統と革新の両立の具体例といえる。

また、金属格子で内側から模様を付けるという今回の技法は、型や切削で外側から装飾する日本のガラス工芸、たとえば江戸切子や薩摩切子とは逆の発想であり、ガラスという共通の素材をめぐる表現の幅を示している。職人の手仕事と工業生産を組み合わせて新技法を成立させた過程は、伝統工芸の技術継承と商品開発の接点を探る日本の産地にとっても示唆がある。