リビア東西の対立政権、統一選挙を2年以内に実施へ合意
リビアの東西に分かれる対立政権が、現地時間の8月30日、2年以内に統一選挙を実施することで合意した。国連の仲介による協議を経て、選挙を管理する機関の立て直しに関する文書に署名した形で、長年続く分裂の解消に向けた合意となる。
何が起きたのか
今回署名したのは、リビア東西それぞれの当局の代表からなる「4+4委員会」と呼ばれる枠組みである。合意の内容は、選挙管理委員会を再編すること、そして選挙法をめぐって東西の間で対立してきた点を処理することの2つが柱で、今後の選挙は東西どちらか一方ではなく、統一された機関のもとで実施されるとしている。
署名の場で、大統領評議会(Presidential Council、リビアの国家元首に相当する役割を担うとされる合議機関)の副議長を務めるムーサ・アルコニ氏は、「分断を管理する段階から、分断を終わらせる段階へ、そして選挙をただ待つ段階から、選挙に向けて具体的に前進する段階へ、リビアを動かす機会だ」と述べた。東側当局を代表して4+4委員会に加わったアブドゥルラフマン・アルアッバール氏も、双方が大きな譲歩を重ねてようやく多くの障害を乗り越えられたと振り返った。
背景
リビアでは2011年に、長期にわたって権力を握っていたカダフィ氏が失脚した後、国内が混乱に陥り、以後は事実上2つの政府が並び立つ状態が続いてきた。西部を拠点とし国際的に承認されているドベイバ氏の国民統一政府(Government of National Unity)と、東部を拠点とするハフタル氏の国民安定政府(Government of National Stability)である。
選挙が実現してこなかった背景には、双方がそれぞれ自らの正統性を主張し続けてきたことがある。選挙を実際に管理する機関が一つに定まらなければ、有権者の登録や候補者の資格審査を誰が担うのかも決まらず、たとえ投票が行われても敗れた側がその結果を認めない恐れが残る。今回の合意が選挙管理委員会の再編と選挙法上の対立の解消に的を絞っているのは、こうした構造的な行き詰まりを解くための土台づくりだとみられる。
今回の署名は、国連の仲介による数か月にわたる協議を経たものである。これとは別に、両者の統一に向けた協議そのものは2025年の終わりごろに始まったとされ、その際に東西双方がパキスタンに仲介を求めたとも伝えられている。
日本にとっての意味
日本はリビアの混乱を受けて2014年7月に大使館を一時閉館していたが、2024年1月にトリポリに大使館事務所を再開し、2025年6月29日には在リビア大使館そのものを再開した。安全上の理由から職員は最小限で、領事業務は隣国チュニジアの臨時事務所が担う体制が続いており、大使館の完全な機能回復はリビアの政情安定にかかっている。今回の統一選挙合意は、その前提条件が整うかどうかを左右する動きだ。
経済面でも接点は増えつつある。2026年7月には第2回日本・リビア経済フォーラムが開かれ、リビアの復興やエネルギー分野での協力が議論された。日本はリビア産原油を2012年から輸入していたが2021年夏以降は途絶えており、リビア経済相はアジア向け輸出の拡大に意欲を示している。中東・北アフリカからの原油調達先の分散を課題とする日本にとって、選挙による正統性のある政府の樹立は、こうした経済関係を実際に動かすための土台になる。