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ナイジェリア大統領、1990年代の米麻薬捜査対象だったとFBI文書

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米連邦捜査局(FBI)が連邦地裁に提出した宣誓供述書で、ナイジェリアのボラ・アハメド・ティヌブ大統領が1990年代初頭、FBIと米麻薬取締局(DEA)による捜査の対象だったことが改めて確認された。捜査記録は現時点でティヌブ氏の犯罪行為を立証するものではなく、大統領側の弁護団はさらなる記録開示に異議を申し立てている。

何が起きたのか

この宣誓供述書は現地時間8月28日、米コロンビア特別区連邦地裁に提出された。ワシントンを拠点とするロビー団体ヴォン・バッテン=モンタギュー=ヨークが、公開された供述書の抜粋を明らかにした。同団体はナイジェリアのアティク・アブバカル元副大統領から依頼を受けており、FBIから大量の記録を入手し、公表前に精査と一部削除の作業を進めているという。FBIは供述書の中で、開示を求められている記録は、複数人物を麻薬密売の疑いで捜査する過程で「作成された」ものだと説明した。

この一連の手続きは、情報公開請求(FOIA)に基づいてティヌブ氏に関する米捜査機関の記録開示を求めている訴訟の一部だ。訴訟を起こしたのはアーロン・グリーンスパン氏で、ティヌブ氏のFBIファイル全体や、1992年から1993年にかけての聴取記録などの開示を求めている。記録は、1990年代初頭にシカゴを拠点にしていたとされるヘロイン密売とマネーロンダリング事件をめぐる、より広範な捜査に関連するものだ。

この訴訟では2025年4月、ベリル・ハウエル判事が、米司法省の過去の公開文書がすでに、ティヌブ氏がFBIやDEAなどによる捜査の対象の一人であったことを公式に認めていたと認定し、FBIとDEAに対し、開示義務の例外にあたらない記録を捜索・処理するよう命じていた。ただしこの2025年の判断は、ティヌブ氏が麻薬密売の罪を犯したと認定したものではなく、刑事訴追や有罪判決を意味するものでもない。FBIは現在も、個人のプライバシー、情報提供者の秘匿、捜査手法、関係者の身の安全などを理由に、記録の一部を非開示または黒塗りにしたまま提出を続けている。

背景

ナイジェリアはアフリカ最大級の人口を抱え、経済規模でも同大陸有数とされる。ティヌブ氏は南西部の中心都市ラゴスの州知事を務めた後、与党を率いる有力政治家として台頭し、2023年の大統領選で当選した。今回問題となっている1990年代の捜査は、シカゴを拠点とした麻薬密売網に関するもので、ティヌブ氏がこの捜査の対象になっていたという話自体は、ナイジェリア国内では以前から政治的な火種としてたびたび取り沙汰されてきたとみられる。

米国のFOIA制度は、政府機関が保有する記録の開示を市民が請求できる仕組みで、今回のように著名な外国要人に関する記録であっても、非公開の例外事由に該当しない部分は開示対象になり得る。今回の供述書は、こうした情報公開訴訟が数年がかりで進んだ結果、FBI側が捜査対象だった事実そのものは認めつつ、具体的な記録の中身は引き続き守ろうとしている構図を示している。ティヌブ氏の弁護団が開示に異議を唱えているのも、この争いが依然として決着していないことの表れといえる。

日本にとっての意味

ナイジェリアはアフリカ最大級の人口を抱え、原油や天然ガスの主要な生産国としても知られる。日本の大手メディアが同国の国内政治を報じる機会は乏しく、現職大統領を巡る米国の捜査というニュースはほとんど知られていない。しかしナイジェリアは日本企業が資源開発やインフラ事業で関わりを持つ市場とされ、同国の政治情勢は原油価格や国際的な資源取引にも影響し得る。

2027年の大統領選に向けてティヌブ政権と野党側の対立がすでに始まっている。開示を求める訴訟自体はグリーンスパン氏が起こしたものだが、大統領への挑戦を目指す野党側政治家の一人であるアブバカル氏が依頼したロビー団体が記録の入手・公表を進めており、米国の司法記録がティヌブ氏の過去に光を当てる材料になっている。こうした政治的な駆け引きが今後の同国の政局にどう影響するかは、日本企業がナイジェリアでの事業やパートナーシップを評価するうえでも、地味だが無視できない要素になる。今回のような報道は、日本の読者が普段目にしないアフリカ主要国の政治リスクの一端を知る手がかりになる。