HS2オールドオーク・コモン駅、建設進捗を写真公開
英ロンドン西部で高速鉄道網HS2の一部として建設が進むオールドオーク・コモン駅の最新の建設写真が公開された。設計は建築事務所ウィルキンソン・エアとエンジニアリング会社WSPが主導し、ロンドンとバーミンガム中心部を結ぶHS2用の6面のホームに加え、在来線用の8面のホームを備える。
何が起きたのか
公開された写真は、地下20メートルに設けられた長さ850メートルの駅躯体の中に高速鉄道ホームを収めた、2層のコンクリート構造の広がりを見せている。駅の中央コンコースを縁取るのは、屋根を支えることになる大型のコンクリート柱の列だ。駅に隣接して整備される公園はまだ完成していない。すでに14面のホームすべての築造が終わっており、旅客列車の運行開始は2036年から2039年の間と見込まれている。
オールドオーク・コモン駅は、ロンドン中心部とウェスト・ミッドランズを結ぶHS2第1期区間の一部で、完成すれば英国最大級の交通結節点となり、地下駅としては英国史上最大になる。ウィルキンソン・エアが公表した完成予想図では、大きなヴォールト(かまぼこ形)屋根が広々とした駅内部を覆い、屋根には太陽光パネルと、採光・換気のための開口が組み込まれる。
「建築は敷地の産業遺産から着想を得ており、壮観なヴォールト屋根が特徴だ」と同事務所は設計公表時に説明している。「ヴォールトには連続するトップライトが組み込まれ、ホーム全体に十分な自然光を届けるとともに、自然換気の手段にもなる」
背景
HS2は、環境への影響と、膨らみ続ける費用や遅延のために、大きな論争を呼んできた事業だ。今年5月に公表された最新の試算では、総費用は870億ポンドから1020億ポンドの間とされている。一方で構造物の完成は着実に進んでおり、2025年9月にはグリムショウが設計した全長3.4キロメートルのコルン・バレー高架橋が完成し、英国最長の鉄道橋となった。
日本にとっての意味
HS2の車両を作るのは、日立製作所が加わる企業連合だ。2021年12月、日立レールとアルストムの共同事業体が、約20億ポンドで54編成の高速車両を設計・製造・保守する契約を獲得した。最高時速360キロメートルで走る車両は英国内の工場で組み立てられ、新幹線で培われた技術が土台の一つになっている。オールドオーク・コモン駅の工事写真は、日本企業が車両を供給する路線の「駅側」が形になりつつあることを示すものだ。
また、2036〜2039年という運行開始時期や870億〜1020億ポンドという費用は、高速鉄道の新設がどの国でも長期化・高額化しやすいことを物語る。品川〜名古屋間の開業時期を確定できずにいるリニア中央新幹線を抱える日本にとって、HS2の遅延と費用膨張、それでも進む建設の実像は、大型インフラの計画と合意形成を考えるうえで格好の比較対象になる。