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マダガスカル元上院議長、抗議デモ弾圧関与で重労働10年

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マダガスカルの元上院議長リシャール・ラヴァロマナナ被告に対し、現地時間9月1日(火)、裁判所は殺人への加担の罪で重労働10年の判決を言い渡した。2025年に起きた若者主導の抗議デモへの弾圧に関与したとして罪に問われていた。被告は容疑を否認しており、控訴する意向を示している。

何が起きたのか

裁判所は、水と電気の不足に抗議する2025年9月から10月にかけてのデモに対し、治安部隊に暴力的な対応を指示したとされる罪でラヴァロマナナ被告を有罪とし、重労働10年を言い渡した。重労働刑はフランス法の影響を受けた刑法に残る刑罰の一つとされる。被告は退役将官で、当時の上院議長であり、ラジョエリナ前大統領の側近だった人物である。デモは当初、生活インフラの不足への不満から始まったが、次第にラジョエリナ政権そのものへの批判へと広がった。国連の集計として地元メディアが伝えたところによれば、この一連の混乱で少なくとも22人が死亡し、100人以上が負傷した。

公判では、被告が治安対応を担ったジャンダルメリ内での影響力を使い、デモ隊への暴力的な対応を指示したと検察側は主張した。これに対し弁護側は、被告が警察や軍、ジャンダルメリに実力の行使を命じた証拠はないと反論し、公判に出廷した元国家警察トップも、被告は混乱当時の指揮系統には含まれていなかったと証言した。弁護人は、暴力行為と被告を直接結びつける文書や口頭の命令が示されていないと問題視した。一方、別途訴えられていた脅迫容疑については、時効を理由に裁判所が退けている。被告は2025年10月に上院議長を解任され、ジャンダルメリの召喚に応じなかったとして同年12月に逮捕された。身柄は首都近郊の厳重警備の刑務所に置かれている。

背景

この一連の抗議デモは、マダガスカルの政治危機の引き金となり、最終的にラジョエリナ前大統領の失脚と、ミカエル・ランドリアニリナ大佐が率いる新政権の発足につながった。検察側の主張の中心にあるジャンダルメリは、警察組織でありながら軍としての性格も併せ持つ治安機関で、旧フランス植民地の国々でよく見られる仕組みとされる。マダガスカルでもこの組織が治安対応の実働部隊となっており、今回の裁判は、政治的な指示がどこまでジャンダルメリの現場行動に及んだのかという、立証の難しい問いを争点にした形になる。ラヴァロマナナ被告は現在、別の汚職事件でも捜査対象となっており、ラジョエリナ前政権に近かった複数の高官が、政権交代後に相次いで司法手続きの対象となっている。

日本にとっての意味

この裁判が示すのは、権威主義的とされる政権による抗議運動の弾圧について、責任者の刑事責任を立証することがどれほど難しいかという点である。検察側の主張は、被告がジャンダルメリ内の影響力を通じて暴力を指示したというものだったが、弁護側は文書や口頭の明確な命令が存在しないことを突いた。命令系統の末端で実行された暴力を、上位の政治指導者や高官の刑事責任にまで結びつけるには、こうした証拠上の壁が常につきまとう。日本の読者にとってマダガスカルという国自体との直接の接点は限られているが、政変後に前政権関係者が次々と訴追される展開は、世界各地の政変後処理でしばしば見られるパターンでもある。それが公正な説明責任の追及なのか、勝者による政治的な報復なのかを見分けるのは容易ではなく、今回のように被告側が控訴を表明し、法廷で指揮系統の有無が争われるという過程そのものが、その判断材料の一つになる。