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バヌアツ、太平洋の2島の主権めぐりフランスを国際司法裁判所に提訴

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南太平洋の島国バヌアツが、フランスとの間で長年争われてきた島の主権問題を、オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)に持ち込んだ。対象はウマエヌプネ(マシュー)島とウマエネグ/レカ(ハンター)島の2島で、バヌアツはこれらの島の主権に加え、両国の排他的経済水域(EEZ)と大陸棚の双方に及ぶ一本の海洋境界線の画定も求めている。

何が起きたのか

ICJによると、バヌアツはハーグの現地時間で8月31日(月)に申立書を提出した。バヌアツ首相府は現地時間の9月2日(水)付の声明でこれを公表し、対象がフランス領ニューカレドニアとの間の島の主権と海洋境界の画定であることを明らかにした。首相府によると、バヌアツは申立書の中で、この2島は「植民地化のはるか以前から、常にバヌアツの一部だった」と主張している。声明によれば、フランスとの二国間交渉は数十年続いたものの、双方の努力にもかかわらず決着しなかった。

バヌアツの副首相で、海洋境界・主権・脱植民地化問題の首席交渉官も務めるジョニー・コアナポ氏は、「正式な交渉、そして数十年にわたる外交努力を経てもなお成果が得られなかった以上、司法による決着こそが、永続的かつ国際的に認められた解決への最も明確な道筋だ」と述べた。ICJは申立書をフランス側に送付したことを確認したうえで、フランスが本件についてICJの管轄権を受け入れない限り手続きは進まないと説明している。

フランス政府は正式な回答をまだ示していないが、フランス外務省の閣外相は、バヌアツの動きを把握しており、しかるべき時期に回答すると述べたと報じられている。

背景

ニューカレドニアは1853年にフランスの植民地となった地域で、現在もフランスの海外領土である。太平洋の島々の多くは、19世紀から20世紀にかけて欧州列強によって分割統治され、当時の境界線は海の管轄権を細かく画定しないまま引かれることが多かったとされる。その後、多くの島国が独立を果たしたが、旧宗主国の海外領土と地続きの海域については、境界が未確定のまま残されているケースが少なくないとみられる。

バヌアツとニューカレドニアの間の島の帰属も、そうした未解決の課題の一つとして数十年にわたりくすぶってきたようだ。

ICJは国家間の紛争を扱う国連の主要な司法機関だが、一方の国が訴えを起こしても、相手国が裁判所の管轄権を受け入れなければ審理は始まらない。今回もフランスの対応次第で、この先の展開は大きく変わる。国連安全保障理事会の常任理事国であるフランスに対し、人口も国力も小さいバヌアツが国際法という手段に訴えた形であり、力の非対称な関係の中で司法的解決を模索する動きとして注目される。

日本にとっての意味

南太平洋の島国と旧宗主国の間に横たわるこうした未解決の領土問題は、日本の報道であまり取り上げられず、なじみが薄い話題かもしれない。しかし日本の遠洋マグロ漁船団は、太平洋島嶼国のEEZ内での操業を含む取り決めのもとで漁を続けているとされ、どの国がどの海域を管轄するかは決して無関係な話ではない。日本は太平洋の島国の首脳を招く枠組みを定期的に設けるなど、この地域との関係を重視してきた経緯もある。

また日本はさまざまな国際問題について国際法に基づく解決を繰り返し訴えてきた立場にあり、安保理常任理事国であるフランスが、規模の小さいバヌアツからの提訴に対して裁判所の管轄権を受け入れるかどうかは、大国が国際司法の枠組みにどこまで従うかを占う一つの前例となり得る。

脱植民地化から半世紀近くを経てもなお、旧宗主国と島国の間に線引きされないままの海が残っているという事実そのものも、日本が知っておく価値のある視点だろう。