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英デザイン産業、小売超え国内総付加価値で最大の貢献分野に

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英国のデザイン産業が40%成長し、国内で生み出される付加価値20ポンドのうち1ポンドを占めるまでになった。英デザイン協議会(Design Council)が現地時間9月7日に公表した報告書が明らかにした。デザイン産業は単一の分野として、小売業を抜いて国内経済への最大の貢献分野になったと報告書は論じている。

何が起きたのか

報告書によると、デザイン産業が2023年に英国経済にもたらした粗付加価値(GVA)は1367億ポンド。2019年の974億ポンドから40%増え、英国全体のGVAの5.5%を占めた。1140億ポンドの小売業を上回ったほか、700億ポンドの宿泊・飲食業のほぼ2倍の規模になった。同じ期間の英国経済全体の成長は24%にとどまり、デザイン産業の伸びが際立つ。

雇用も拡大している。デザイン経済の雇用は2020年から15%増えて約29万7000人分の職が加わり、現在は227万人の雇用を支える。この間の英国全体の雇用の伸びは2.5%未満だった。成長はロンドンと南東部以外にも広がり、2019年以降、デザインの経済貢献はウェールズで88%、イングランド北東部で67%、スコットランドで32%増えた。

デザイン協議会のチーフ・デザイン・オフィサー、キャット・ドリュー氏は、都市計画からコンピューターゲームまで、デザインは経済全体に及ぶ事業能力だと指摘する。「一部のデザイナーは建築事務所やファッションハウスのようなデザイン産業で働くと分類されるが、デザイナーの80%は経済の他の部分で働いている」と同氏は述べ、国民保健サービス(NHS)のデジタルチームや金融機関の社内デザイナーを例に挙げた。

背景

好調な数字の一方で、ドリュー氏は人工知能(AI)の影響を踏まえ、「我々が捉えたのはトレンドの頂点だった可能性もある」と認めている。細かく見ると、グラフィックデザインの成長は2023年から2025年にかけて鈍った。対照的にデジタルデザインは急伸し、いまやデザイン経済全体の59%を占め、26%成長して雇用は100万人を超えたという。世界経済フォーラム(WEF)の調査では、グラフィックデザインはAIのリスクにさらされやすい職種の一つとされる一方、UX・UIデザイナーの需要は伸びると見込まれている。

人材の供給にも赤信号がともる。英国の中等教育修了資格(GCSE)でデザイン・テクノロジー(D&T)を選ぶ生徒は2014年から2024年で68%減り、D&Tの教員数は半減した。多様性の面でも、デザイナーに占める黒人の割合は2%にとどまり、英国の労働力全体の5%を下回る。ドリュー氏は、より多様な人材の受け皿づくりを訴えている。

日本にとっての意味

日本でもデザインを経営資源と位置づける動きはある。経済産業省と特許庁は2018年5月、研究会報告書「『デザイン経営』宣言」をまとめ、デザイナーが経営の意思決定に参画する経営スタイルを提唱した。ただ、その後のデザインの経済規模を国全体で定点観測する統計は、日本にはほとんどない。

英国の報告書が示すのは、「デザインがいくら稼いでいるか」を毎回同じ物差しで測り続けることの効果だ。小売業を上回ったという比較も、地域別の伸びも、教育や多様性の課題も、数字があるから政策論争の土台に載る。AIがデザインの仕事を塗り替えつつある今、産業の現在地を測る物差しを持っているかどうかは、日本のデザイン政策にとっても他人事ではない。