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ケニア、外国人小規模事業者に閉鎖命令 ブルンジ人に動揺広がる

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ケニアのウィリアム・ルト大統領が、外国人の営む小規模事業に閉鎖を命じたことを受け、現地の9月7日、首都ナイロビのブルンジ大使館に帰国用の渡航書類を求める人々が押し寄せた。多くは路上で物を売って生計を立ててきたブルンジ人で、突然の措置に不安が広がっている。ケニア政府は同日中に釈明し、書類なしで働く外国人の登録手続きを設ける方針を示した。

何が起きたのか

ルト大統領は現地時間9月2日、外国人が営む小規模事業について、現地の9月7日を期限に閉鎖するよう命じた。同大統領は、路上商人(hawker)に対する投資家の信頼が築かれていない、といった趣旨の理由を挙げたと伝えられる。

この命令は、東アフリカ共同体(EAC、ケニアやブルンジなど加盟国間で人の移動を自由にしている地域連合)内から集まってきた移民、とりわけ路上で商売するブルンジ人の間に強い不安を引き起こした。現地の7日、ブルンジ大使館の前には茶色い大きな封筒を抱えた人々が長時間並び、敷地内にはスーツケースやビニール袋が積み上がった。

牧師のジャン=バティスト・ンダイゼイエ氏はAFPの取材に「私たちは動物のように追い出された」と語り、近隣の2人が襲われ金品を奪われたと訴えた。ただしこの被害の訴えはAFPが独自に確認できていない。同氏は、南アフリカで起きた外国人排斥(xenophobia)の暴力と同じだとも述べた。

事態を受け、ケニアのコリル・シンオエイ外務副大臣が同日中に大使館を訪れ、大統領の発言は「誤解された」と説明し謝罪した。暴力が報告された地域では警察が保護に当たると約束したという。

政府報道官のチャールズ・オウィノ氏は、正式な「登録・書類確認の窓口」を設けたと発表し、必要な書類を大使館に提示するよう呼びかけた。同氏は、歴史的経緯や地域の事情から、ブルンジ人を含む多くの東アフリカ諸国出身者が正式な書類のないままケニアで暮らし働いてきたと認めている。

ブルンジのエドゥアール・ビジマナ外相は、外国人とりわけブルンジ人への「暴力」を非難し、市民に取り締まりを事実上委ねる状況は「破綻国家という印象を与える」とX(旧Twitter)に投稿した。

背景

EACは加盟国間の移動の自由を保障しているが、それは「入国できる」ことを意味するだけで、「働く許可」までは自動的に与えないとされる。ケニアで路上販売をしてきたブルンジ人のエリック・ビジマナ氏は、2022年に母国での長期失業を経てケニアに来たが、就労許可の取得費用が高く申請してこなかったと語る。移動は自由でも就労には別の許可が必要という、この制度の隙間が、多くの東アフリカ出身者を「書類のないまま働く」状態に置いてきたとみられる。

ケニアは長年、EAC域内から出稼ぎの人々を惹きつけてきた経済の中心地とされる。ブルンジは人口およそ1500万人で、世界でも特に貧しい国の一つとされ、多くの人がより仕事のあるケニアを頼ってきたという背景がある。今回の命令は、こうした非正規の就労実態を一気に「違法」として扱う形になり、突然の生活基盤の喪失につながったとみられる。

日本にとっての意味

この一件は、在留資格と就労できる範囲が別々に管理される制度が抱えるリスクを映している。日本でも特定技能や資格外活動許可など、在留の許可と働ける仕事・時間の許可は別建てで運用されているとされ、制度が変われば、長く定着してきた外国人労働者が一夜にして「違反状態」に置かれかねない構造は共通する。

もう一つの論点は、許可取得の手続きが高額・煩雑であるほど、人々が正規の手続きを避けて非正規の働き方に流れやすくなるという指摘だ。ケニアの事例でも、就労許可の費用の高さが未取得の一因として語られている。日本の外国人労働者を巡る議論でも、制度の使いやすさが正規就労を促すか非正規化を招くかを左右する要因として参考にできる視点だろう。ただしケニアのようなEACの自由移動圏に相当する仕組みは日本には存在せず、単純な比較には注意が必要だ。