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デンマーク家具ブランド、自社ソファの「偽物」を自ら発売

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デンマークの家具ブランドOMHU(オムフー)が、看板商品のソファベッド「Teddy(テディ)」の「偽物」を自ら作って売り出した。名前をわざと「Tedy(テディ)」と綴り間違え、価格も下げ、偽物が売られている第三者サイトで限定販売するという徹底ぶりだ。コピー文化への注意喚起と、それ自体がマーケティングを兼ねる。

何が起きたのか

Tedyは、2人掛けでポリエステル90%の張り地、クロムめっきの鋼管フレームという元のTeddyの複製で、素材も構造も本物と同じ。モジュール式でベッドや大きなフロアクッションに展開できる点まで変わらない。違いは鮮やかな「偽物オレンジ」の張り地と価格で、Teddyの1,995ドルに対しTedyは799.99ドル。ネット上の偽物の平均価格に合わせて値付けしたという。

限定50台は現地の9月5日、自社サイトではなくTemu、Etsy、Dupe.comといった、普段は偽物が並ぶ側のサイトで発売され、OMHUによれば10分で完売した。座面のタグには「So many dupes. Only one original.(偽物はたくさん、本物はひとつ)」の文字が入る。

背景には、2022年にTeddyがネットでバイラルヒットした後の市場調査がある。最大の競合は他の家具ブランドではなく、ネットで売られる偽物だと分かったのだ。クリエイティブディレクターのクリスティーネ・スミス氏は「普段なら偽物は通報するか無視するかだが、問題を逆手に取り、安物買いの本当の代償への意識を世界的に高めるクリエイティブな好機だと考えた」とDezeenに語った。

背景

OMHUは偽物文化の拡大を、Z世代とインターネット文化、そしてファッションから家具・デザインへの潮流の広がりと結びつけて説明する。発売に合わせ、有名人のそっくりさんインフルエンサー「デュープフルエンサー」を起用し、そっくりさんコンテストを開くなど、偽物文化そのものをマーケティング戦略に仕立てた。CEOのシモン・サロモンソン氏は「これは我々だけの戦いではない。コピーされることにうんざりしているブランドの参加を歓迎する」と呼びかける。

デザイン界で模倣は続く問題だ。米家具メーカーのエメコは2026年9月、ノーマン・フォスター設計の椅子とスツールを模倣したとしてザラ・ホームを提訴し、2023年にはテック企業ディグビーが家具ブランドのヘラーと組み、NFTでデザイン製品の真贋を確かめる仕組みを試している。ただ、偽物の売り場に本物ブランドが乗り込む今回の手法が、今後の商習慣や価格設定にどう跳ね返るかは未知数だと記事は指摘している。

日本にとっての意味

偽物の主戦場が海外通販サイトだという構図は、日本の消費者にも直結する。日本では2021年の商標法・意匠法改正で、海外事業者が模倣品を郵送などで国内に持ち込む行為が権利侵害だと明確化され、2022年10月からは個人使用目的の輸入でも税関の取り締まり・没収の対象になった。TemuやSHEINなどで安価な家具・雑貨を買う習慣が広がるなか、「安い類似品」が法的には模倣品にあたる場合があることは、知っておいて損はない。

もう一つの視点は、日本にも多い「リプロダクト家具」との違いだ。意匠権などが切れた名作家具の複製は合法的に流通しているが、OMHUが問題にするのは権利が生きている現行品の偽物だ。本物と偽物の境目を騒動として見せるこのキャンペーンは、安さの裏で何が失われるのかを消費者に突きつける、家具業界からの一つの回答といえる。