セネガル議会でIMF融資巡り与党内対立、首相を追及
セネガル国民議会で現地時間の9月8日、アマドゥ・アル・アミヌ・モハメド・ロ首相の施政方針演説を巡り、国際通貨基金(IMF、International Monetary Fund)との融資合意への批判が噴出した。焦点になったのは、政府が最近まとめた3年間・総額22億ドル規模の支援プログラムで、与党内からもロ首相の説明に異論が相次いだ。
何が起きたのか
ロ首相は演説で、IMFとの合意を擁護した。「IMF抜きでやっていけないなら、IMFとの計画を立てるべきだ」と述べ、一国のマクロ経済の方向性と債務の持続可能性について意見を述べる権限を持つのはこの機関だけだとして、合意の必要性を強調した。
これに対し、PASTEF所属のギー・マリユス・サニャ議員は強く反発した。「(バシルー・ジョマイ・)ファイ大統領とキイライ(Kiiray)は、主権あるセネガルではなく、従属したセネガルを代表している」と述べ、IMFの管理下に置かれた国という表現でロ首相の姿勢を批判した。サニャ氏はさらに、首相の発言がまるでIMFの利益を代弁する立場の人物のように聞こえたとも主張し、IMFはこれまで一国も発展させたことがないと持論を展開した。
セネガルは現在、約35億ドルの支払い延滞(arrears、政府が業者や債権者への支払いを滞らせている状態)を抱えている。ロ首相によれば、IMFとの合意は返済期限の延長や金利の再交渉を通じて債務を「リプロファイリング」する内容だという。これは債務の減免ではなく、返済条件を組み替えて資金繰りの負担を先送りする措置とされる。政府はあわせて、鉱業契約約30件の再交渉も進めているという。
背景
今回の対立は、単純な与党対野党の構図ではない点が特徴的だ。批判の急先鋒に立ったサニャ議員が所属するPASTEFは、ファイ大統領を含む現政権を生んだ与党そのものであり、党首のウスマン・ソンコ氏は現在、国民議会議長を務めている。つまりIMF合意を巡る対立は、政権を共に作った勢力の内部にある亀裂として表面化した形だ。ファイ大統領とソンコ氏の間には、IMFプログラムを含む複数の論点で確執があるとされ、ファイ氏が新たに自身の政党キイライを立ち上げたことも、その亀裂を象徴する動きとみられる。
IMFの融資には通常、財政赤字の縮小や補助金の見直しといった条件(コンディショナリティ)が付随する。西アフリカ諸国が加盟するWAEMU(西アフリカ経済通貨同盟)はユーロに連動した共通通貨CFAフランを採用しており、為替の調整余地が限られる分、財政面での引き締めに調整の重みがかかりやすいという指摘がある。こうした構造の中で、IMFとの合意が国内でどこまで「主権の制約」と受け止められるかは、セネガルに限らず同様の枠組みを持つ国々に共通する論点だといえる。
日本にとっての意味
日本はIMFの主要な出資国の一つに数えられ、加盟国の融資プログラムの承認や運営方針の議論に一定の発言力を持つ立場にある。セネガルのような案件で示される、融資条件を巡る受け入れ国内の政治的な緊張は、IMFという国際機関の支援が単なる資金拠出にとどまらず、当該国の政治過程にも影響を及ぼしうることを示す事例といえる。
また、途上国の債務再編を巡っては、日本が参加するパリクラブ(主要債権国会合)などの枠組みで協議されることがあり、セネガルが抱える支払い延滞の扱いも、こうした国際的な債務交渉の場に持ち込まれうる論点となる。日本はTICAD(アフリカ開発会議)を通じてアフリカ各国との協力関係を続けており、セネガルを含む西アフリカ諸国の財政運営の動向は、今後の経済協力のあり方を考えるうえでも参考になる。