アルジェリア、UAEと国交断絶 中東・北アフリカで摩擦深まる
アルジェリア政府は現地時間の9月10日、UAEとの国交断絶を発表した。数年にわたり緊張が続いてきた末の措置で、アルジェリア政府はUAE政府が自国や地域の内政に干渉してきたと非難している。テブン大統領は以前からUAEを念頭に厳しい言葉で批判してきた人物で、今回の決定はその延長線上にある。
何が起きたのか
国営テレビは「両国関係を維持するためのあらゆる手段を尽くした末に、アルジェリアはUAEとの外交関係断絶を決定した」と発表した。あわせて、アルジェリア駐在のUAE大使に対し、48時間以内に決定に従うよう求めたという。
テブン大統領は演説の場で、UAEのことを、地域の複数国を不安定化させようとする小国あるいは国家未満の存在だとたびたび呼んできた。今年7月のテレビインタビューでは「彼らが足を踏み入れる場所ではどこでも血が流れる」と述べ、UAEが地域に悪い影響を及ぼしてきたと主張し、血を流させないためにも自国から距離を置いてほしいと訴えた。テブン氏はまた、アラブ世界の分裂を深めないよう配慮してこなければ、断交はもっと早い段階で起きていただろうとも語っていた。
背景
アルジェリアは独立以来、内政不干渉と非同盟を外交の基本原則としてきたことで知られる。国境を接するリビアやサヘル地域は近年、内戦や武装勢力の活動で不安定な状態が続いており、外部勢力の関与に神経をとがらせてきたとみられる。
UAEについては、この10年ほどの間に石油依存からの脱却を掲げつつ、リビアやスーダンなど北アフリカ・サヘル地域の紛争に関与を深め、地域での影響力を積極的に広げる方向に外交姿勢を転換してきたという指摘がある。テブン大統領が繰り返しUAEを批判してきた背景には、そうした動きへの警戒があるとみられるが、今回の発表でアルジェリア側が具体的にどの行為を問題視したのかは説明されていない。
国交断絶は、通常は両国の大使館が閉鎖され、外交官が引き揚げる事態を指す。これにより、相手国に滞在する自国民や進出企業は領事の支援を受けにくくなり、両政府間の連絡は第三国を介して行われるのが一般的になる。一方で、国交がない状態でも貿易や資源取引といった経済関係が自動的に止まるわけではなく、関係修復にはあらためて政治判断が必要になる。
日本にとっての意味
UAEは日本にとって中東地域からの主要な原油調達先の一つで、日本の原油輸入は中東への依存度が高い。中東産原油の多くは長い航路を経て日本まで運ばれるとされ、その大半がペルシャ湾岸から積み出されている。
今回のアルジェリアとUAEの断交そのものは、日本向けの原油供給に直接影響する話ではない。両国間の貿易額も日本の輸入構造からみれば限られているとみられ、日本企業が直接の取引で打撃を受ける状況は考えにくい。
それでも知っておく価値があるのは、UAEが北アフリカやサヘル地域で影響力を広げようとする動きへの周辺国の反発が、外交関係を断つところまで至ったという構図である。日本のエネルギー調達が依存する中東・北アフリカの一帯で、湾岸の産油国と周辺国との間の主導権争いが表面化していることは、地域の安定を左右しうる要因であり、今後も注視する必要がある。