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英キングズリン、旧ナイトクラブを図書館に改修

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英国東部ノーフォーク州の町キングズリンで、使われなくなった商業ビルが公共図書館に改修された。設計は英国の設計事務所ハドソン・アーキテクツ。既存のコンクリート構造を残したまま、外側をセメント製のシングル(薄い板状の外装材)で包み直した。

何が起きたのか

改修前の建物は、かつてナイトクラブと駐車場、小売店が入っていた放置状態の構造物だった。地元の図書館は町の外れにあり、立地のせいで使われていなかった。この建物を図書館の新しい住処にすることで、町の中心に近い場所へ移すのが狙いだ。

設計の要になったのは、既存のコンクリート構造をむしろ小さくするという判断だった。周囲の建物のスケールに合わせて量を減らし、そのぶん入口前に広い公共の街路を生み出している。

「私たちの役割の大きな部分は、この建物のかなり鈍重な存在感を、もっと魅力的で迎え入れるような、保存地区の縁と町の現代的な商業地区という立地によく合ったものに変えることだった」と、同事務所のディレクター、ルイーズ・ボディー氏はDezeenに語った。「この建物の成功の多くは、できるだけ多くを残すという早い段階の決定から生まれている」とも述べている。

既存構造への手の入れ方は大きく2つ。中央を吹き抜けて天窓のあるアトリウムを彫り出したことと、南の角を切り取ってガラス張りの正面を通りに向けたことだ。内部ではコンクリート構造をあらわしのまま残して空間の骨格とし、ジグザグに折れる木の階段と板張りの壁がその硬さを和らげる。

外装は淡い色調のセメント・シングルで覆われた。周囲の建物の色合いを参照したもので、ボディー氏は濃淡の異なるシングルを使い、ファサード全体にまだらで変化のある効果を出したと説明する。「劇的に姿を変えたにもかかわらず、これが古い建物の再利用だと来館者にすぐには分からない」と同氏。「へこみや傷を含めたこの建物の歴史は、ゆっくりと姿を現す。それもここを体験する喜びの一部だと考えている」

背景

内部の構成は階ごとに性格が分かれる。1階の児童図書館は城をテーマにしていて、アーチと銃眼のような凹凸を持つ遊具や書架が、中世から続く町の中心部を指し示す。天井には波打つ木製の吸音バッフルが並ぶ。

2階は開放的な読書エリアで、中央のアトリウムを囲むように長机が置かれ、外周にスタッフの空間が入る。階段とエレベーターを追加し、建物全体がバリアフリーになるようにした。3階はより囲まれた性格で、調理実習室を含む教育用の部屋が並び、大きな正方形の窓の列から町を見下ろす。

ハドソン・アーキテクツは過去にも、ノーフォークでコブ(粘土質の土と水、藁などの繊維質を混ぜた、焼かない土の建材)を使った低炭素住宅を手がけている。

日本にとっての意味

使われなくなった商業施設を図書館に変えるという手法は、日本の地方都市でもすでに定着しつつある。尚絅大学の桑原芳哉氏が2019年にまとめた調査によれば、2007年以降、大型商業施設の撤退や縮小で空いたスペースを活用する形での図書館整備が相次いでおり、地方都市では商業施設に代わって図書館が「集客」の中核施設として期待されている。

具体例もある。山口県の周南市立徳山駅前図書館は2018年2月、中心市街地の活性化を目的とした「徳山駅前賑わい交流施設」の中核として開館した。書店やカフェと同居し、夜10時まで開くこの図書館は、人の流れを中心部へ呼び戻す装置として構想されている。

ただし両者のやり方は違う。日本の多くは商業施設の空きフロアに図書館が「入居」する複合施設の形で、建物そのものの姿は変わらない。キングズリンでは建物を丸ごと図書館に変え、構造を減らして街路を広げ、外皮まで設計し直した。中心市街地に図書館を置くという発想が同じでも、建物にどこまで手を入れるかという踏み込みの深さは大きく異なる。空き店舗を抱える日本の地方都市にとって、改修の射程をどこまで広げられるかを考える材料になる。