BTタワーをホテルに転用、屋上プール計画をOrmsが申請
英国の建築事務所オームス(Orms)が、ロンドンの通信塔BTタワーを屋上プール付きのホテルに転用する計画を、地元のカムデン区に申請した。発注者は米国のホテル運営会社MCR。認可されれば、1981年以来閉ざされてきた高さ177メートルの塔の上層部が、再び一般に開かれることになる。
何が起きたのか
オームスは、グレードII指定の歴史的建造物であるBTタワー本体と、隣接する低層のポディウム、1930年代のハウランド・ビルディングを修復し、複合施設全体をホテルに転換する。1階には店舗、バー、レストランが入る計画だ。
一般の人も利用できるプールは、ポディウムの屋上に設けられる。泳ぐ人の頭上に象徴的なBTタワーがそびえる構図になる。計画には建物周辺の公共空間の改善も含まれている。
MCRの最高経営責任者タイラー・モース氏は「私たちの構想は一貫して、BTタワーの特筆すべき歴史に敬意を払いながら、その未来を描き直すことだった」と述べ、計画申請は「50年近くを経てこのランドマークを再び開く、心躍る一歩」であり、カムデンに新たな雇用と開かれた空間をもたらすものだと語った。
背景
BTタワーは公共建築省の設計で、主任建築家エリック・ベッドフォードとG・R・イエーツが率いた。1964年に「ポスト・オフィス・タワー」として開業した通信塔で、建設当時はロンドンで最も高い建物だった。その座は1980年にナットウエスト・タワーが建つまで保たれた。
塔はマイクロ波アンテナを支えるために設計されたが、そのアンテナは2011年に撤去されている。特徴的だった頂部の回転レストランは1980年代初めに閉店した。
MCRがこの塔の取得を発表したのは2024年で、当時は英国のヘザウィック・スタジオが転用を主導する予定だった。オームスが引き継いだのは2026年に入ってからだ。工事の着手は建物が完全に明け渡された後の2029年が見込まれ、MCRは2033年までに転用を終えて一般公開する計画を立てている。
日本にとっての意味
役目を終えた電波塔をどうするかという問いは、日本も通ってきた道だ。1958年に完成した東京タワー(333メートル)は、在京放送局の総合電波塔として半世紀以上使われてきたが、2013年5月31日に地上デジタル放送の送信が東京スカイツリーへ切り替えられ、主役の座を降りた。BTタワーがマイクロ波アンテナを失ったのと同じく、塔は本来の機能を手放したことになる。
その後の歩みは対照的だ。東京タワーは送信設備を予備として残しつつ、展望台や商業施設を軸にした観光施設として運営を続け、2013年6月には国の登録有形文化財にも登録された。つまり「塔のまま」生き延びた。対するBTタワーは、グレードII指定の保護を受けながら、民間ホテルという別用途に丸ごと転じようとしている。
保存の枠をかけたうえで用途を大きく変えるのか、元の姿と運営主体を保ったまま観光で支えるのか。高度成長期に建てられた大型インフラが次々と役目を終えつつある日本にとって、ロンドンの選択は比較の材料になる。