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仏ユクロニア、パリ・デザインウィークでグラン・パレに巨大花装飾を設置

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フランスのデザインスタジオ、ユクロニア(Uchronia)が、パリのグラン・パレに巨大な花の彫刻「ル・グラン・ブーケ(Le Grand Bouquet)」を設置した。パリ・デザインウィークの期間中、館内のアンタン円形広間に据えられ、無料で見ることができる。作品の足元には円形のベッドが並び、来場者は寝転んで天井を見上げられる。

何が起きたのか

制作を依頼したのはグラン・パレとパリ・デザインウィークで、求められたのは、改修を終えたばかりの建物をただ使うのではなく、その建築を引き立てる彫刻的な介入だった。ユクロニア創設者のジュリアン・セバン氏は「この設置作品が、グラン・パレそのものから生えてきたように感じられるようにしたかった」とDezeenに語り、同時に「ユクロニアの陽気で色彩豊かな、少し超現実的な言語を、この非常に歴史的な設えの中に持ち込みたかった」と述べている。

大型の金属彫刻は、円形広間の花の装飾から着想を得て、それを誇張することで周囲と対話する新しい建築的表現をつくり出した。様式化された花びらは床から生え出てくるように見え、円を描く構成が広間の幾何学と呼応して、視線を装飾的な天井へと導く。「装飾が突然育ち始めて部屋を占領してしまったかのような、建物の延長として想像した」とセバン氏は言う。

記念碑的な大きさでありながら、作品は「おおらかで、遊び心があり、親しみやすい」ものとして設計されたという。花が視覚的に軽く、壊れやすそうに見えることが、その印象を支えている。

制作にはフランスの職人が深く関わった。金属工房アトリエ・フランソワ・プエナが内部の金属構造を開発し、塗装のセニュリーがPPGグループの塗料で光沢のある発色を実現している。

背景

この作品の要は、離れて眺めるだけの彫刻にしなかったことだ。彫刻の足元を囲む円形のベッドは、ベッドブランドのトレカ・パリが製作し、絹織物メーカーのマニュファクチュール・プレルが張り地を手がけた。来場者はそこで足を止め、広間の建築を眺めることになる。

「ル・グラン・ブーケを、来場者が遠くから眺めるだけのものにしたくなかった。人にそこに住んでほしかった」とセバン氏。「ベッドは、グラン・パレの記念碑的なスケールの中に、思いがけない家庭的な仕草を持ち込む。絹の張り地は、やわらかさと手ざわり、そしてフランスの職人技という層をもう一枚重ねている」

周囲にはユクロニアがフランスのデザインブランド、ティプトゥのために作った家具も点在する。建物の外には色鮮やかな空気で膨らませた構造物が置かれ、街と館内の遊戯的な空間とのあいだの敷居をつくっている。

セバン氏は、来場者が「来たときより少し軽い気持ちで」帰ってくれることを願うと語る。「このプロジェクトは、抵抗の一形態としての喜び、そして人を結びつける力を持つものとしての喜びについてのものだ」。不確かさに定義されがちな時代にあって、美しさと想像力、そして他者と経験を分かち合う楽しさを祝う、臆面もなく楽観的なものを作りたかったのだという。

舞台となったグラン・パレは、フランスの設計事務所シャティヨン・アルシテクトが主導する大規模な改修を経て、展示室が現代化された。その一部は、自館の改修工事中のポンピドゥー・センターが一時的に使っている。ユクロニアは2019年にセバン氏が設立したスタジオで、色彩と植物的な造形、職人技、物語を組み合わせる作風で知られ、過去のパリ・デザインウィークでも18世紀のオテル・ドゥ・ラ・マリーヌの内装に着想した巨大なベッドを発表している。

日本にとっての意味

グラン・パレは1900年のパリ万博のために建てられた。126年を経た今も現役で、大規模改修を受けたうえでデザインウィークの舞台になっている。万博の建物が都市の資産として生き続けている例だ。

日本の対応は対照的だ。2025年の大阪・関西万博の象徴だった大屋根リングは、北東部の約200メートルだけを大阪市営公園として残す方針が決まり、それ以外は2027年8月までに撤去される。1970年万博の太陽の塔のように残るものもあるが、原則は会期限りで解体される。会期後の使い道を最初から設計に織り込むかどうかで、建物の寿命は百年単位で変わる。

歴史的な建物を現代の手で開き直すという点では、日本にも実例がある。1933年開館の帝冠様式の建物を使う京都市京セラ美術館は、青木淳氏と西澤徹夫氏の設計で2020年にリニューアルし、重厚な外観を保ったまま「ガラス・リボン」と呼ばれるガラスのファサードを地下に差し込んだ。グラン・パレの改修と発想は近い。

ただしユクロニアがやったのは建築の改修ではなく、改修が済んだ空間に期間限定で作品を咲かせ、しかもベッドを置いて人に寝転ばせることだった。日本の文化財建築で、来場者が寝そべって天井を見上げる企画がどれだけ通るかを考えると、この距離感は小さくない。空間を「使わせる」度合いをどこまで許せるかという問いが、そこにはある。