ナイジェリア議会、南アフリカへの公式訪問を全面停止
ナイジェリアの国民議会(上下両院からなる立法府)は、南アフリカへの公式訪問をすべて停止すると発表した。南アフリカでは外国人を標的にした暴力が続いており、ナイジェリア人にも死者や負傷者、避難を強いられた人、事業を手放さざるを得なくなった人がいると伝えられている。今回の措置はオンラインでのやりとりも対象に含むという。
何が起きたのか
Africanewsによると、ナイジェリアの国民議会は南アフリカへの公式訪問の全面停止を決めた。対象は公務での訪問で、一般のナイジェリア国民の渡航を制限するものではないとみられる。議会は「海外にいる自国民への継続的な攻撃を無視することはできない」と述べ、南アフリカ国内でのナイジェリア人の被害を理由に挙げた。
南アフリカでは数か月にわたり外国人を標的にしたデモが起きており、一部は死者を出す衝突に発展している。9月上旬にはダーバンで、行進していた集団がコンゴ出身者の野営地に押しかけ、激しい衝突が起きたという。ナイジェリアはこれまでも、南アフリカ政府が暴力を防ぐ対応を十分に取っていないと公然と批判してきた。
背景
南アフリカはアフリカ大陸で工業化が最も進んだ経済圏の一つとされ、正規・非正規を問わず移民を引き寄せてきた。その一方で、高い失業率、行政サービスの不足、治安の悪化という国内問題も長年抱えている。Africanewsが伝えるところでは、政府の政策の失敗が何十年も続いてきたにもかかわらず、こうした問題の責任は移民に転嫁されがちだと分析者は指摘しているという。
外国人排斥的な暴力が南アフリカで繰り返されてきたことは、これまでも両国間の外交摩擦の火種になってきたとみられる。今回の対応が政府ではなく議会から出てきた点は重要だ。外交関係そのものを断つ権限は議会にはないとみられ、今回の措置はあくまで公式訪問という限られた範囲の対抗措置にとどまる。それでも、立法府が独自に声を上げるという形は、南アフリカの対応への不満が国内の政治的圧力として高まっていることをうかがわせる。
日本にとっての意味
今回の一件は日本の読者が南アフリカの移民問題を理解するうえでも手がかりになる。決定を下したのが政府ではなく議会だという点を踏まえれば、これは国交断絶のような重大な外交危機ではなく、両国関係に生じている摩擦の深まりを示す一つの指標として捉えるのが妥当だろう。今後、南アフリカ政府がどう応答するかが、事態が収束に向かうか長引くかを見極める材料になる。