チェコ・イフラバに新アリーナ完成、赤いジグザグ外壁で覆う
チェコの建築事務所ヒビク+クリシュトフが、同国中部の都市イフラバに市営アリーナを完成させた。赤いアルミのジグザグ外壁と、屋上をめぐるランニングトラックが特徴だ。5,650席の建物は地元アイスホッケーチームの本拠地だが、同時に市の「文化と市民生活の拠点」として構想されている。
何が起きたのか
外観を決定づけているのは鮮やかな赤いアルミの外壁で、設計者は市民が強く自分たちのものと感じられる姿を狙った。赤は市の紋章とホッケーチームのクラブカラーの両方を指し、ぎざぎざの形は市の象徴であるハリネズミの針になぞらえられている。
「大規模な施設としての複雑な技術的要求に応えつつ、近づきやすく、迎え入れてくれるように感じられる建物として構想した」と、同事務所の創設パートナーであるオンドジェイ・ヒビク氏は述べる。「角張った外壁と王冠のような頂部がアリーナに強い個性を与え、現代的な性格を表しながら市の歴史的なスカイラインとつないでいる」
市議会議員のダヴィド・ベケ氏も「市の象徴であるハリネズミを思わせる赤い外壁のおかげで、イフラバの人々はこのアリーナに強く愛着を持った」と語った。
ヒビク+クリシュトフは、老朽化したスケートリンクを建て替えるために市が実施した設計競技で選ばれた。競技の条件には、市の中心部とよりよく一体化した施設であることが挙げられていた。アリーナは2025年11月に開館した。アイスホッケーやほかの競技に加え、コンサートから会議まで開けるよう設計されており、可動式の観客席によって収容人数はホッケー時の5,650人から7,400人以上まで広げられる。
背景
設計の思想は、ヒビク氏の言葉にはっきり表れている。「イフラバ市営アリーナは、まず公共建築として、次にイベント会場として構想された」。歴史的な中心部の縁に位置するこの建物は、単独で完結する物体としてではなく、街そのものの延長として扱われたという。「開かれていること、通り抜けられること、あらゆる尺度での細部への配慮を通じて、このアリーナは日々の使用と、共有される都市生活と、集まって祝う瞬間を支える」
その考えを最もよく示すのが屋上だ。230メートルのランニングトラックが載っており、一般に無料で開放され、市を見渡す展望台としても機能する。観客席は赤い顔料を混ぜたコンクリートで作られ、鉄骨のトラス屋根と組み合わされている。
建物の外側にも手が入っている。隣接する建物とのあいだを人がなめらかに行き来できるよう公共空間が設けられ、張り出した屋根が作るアーケードや、円形劇場のような階段が配された。内部では、車椅子利用者が完全に通行できる動線が観客席をぐるりと取り巻く。「試合やコンサートを超えて、日々街とともに生きる建物を作ることが狙いだった」とヒビク氏は言う。「アリーナは街の構造の一部であって、孤立した島ではない」
仕上げにも地元の作り手が関わった。折りたたみ式の座席はチェコの座席メーカーであるコヴォスタルと共同で特注し、音響処理を兼ねるように設計されている。コンクリート構造に埋め込まれた三角形の照明器具はチェコのガラス工房ボンマが手がけ、5つの照明インスタレーションはテック・ファブリカが制作した。案内表示にはグラフィックデザイナーのルカーシュ・キヨンカ氏が作った専用書体が使われ、ジグザグの外壁に呼応している。
アリーナの隣には、練習場や運営・技術設備を収める3棟の付属施設も作られた。うち2棟は敷地にあった既存の建物を転用したもので、新築されたのは6階建ての銀色の立方体だ。この中にはファンショップ、レストラン、ホテル、ジム、体育館が入る。
日本にとっての意味
日本でもアリーナの建て替えが各地で進んでおり、その方向性は驚くほど似ている。スポーツ庁と経済産業省は2016年に官民連携の協議会を立ち上げ、「スタジアム・アリーナ改革」の指針をまとめた。掲げられたのは、従来の「単機能型」「行政主導」「郊外立地」「低収益性」から、「多機能型」「民間活力導入」「街なか立地」「収益性改善」への転換だ。
イフラバのアリーナは、この四つのうち前の三つを地で行っている。設計競技の条件からして中心市街地との一体化が求められ、可動席でホッケーからコンサート、会議まで受け止め、歴史的中心部の縁という街なかに建った。
ただし一点、日本の議論とずれる部分がある。日本の改革論が「収益性改善」と「プロフィットセンターへの転換」を前面に置くのに対し、ヒビク氏は「まず公共建築、次にイベント会場」と順序を明言し、屋上のランニングトラックを無料で開放した。イベントのない日に市民が日常的に使うことを、収益ではなく設計の出発点に据えている。
アリーナをまちづくりの核にするという目的地は同じでも、そこへ至る動機の置き方は違う。稼働率と採算が先に立ちがちな日本の施設整備にとって、この順序の違いは考える材料になる。