ナイジェリア、太陽光パネルの国産化に挑む 中国製との競争が壁に
ナイジェリアで太陽光パネルの国産化を目指す動きが本格化している。現地企業LPVテクノロジーズはラゴス郊外の工場で太陽電池セルの検品からパネル組み立てまでを手がけ、製品には「メイド・イン・ナイジェリア」の表示を付けて国内外に出荷している。ただしナイジェリアの太陽光市場は依然として輸入パネルが圧倒的で、その大半を中国製が占めている。
何が起きたのか
LPVテクノロジーズの操業責任者エマニュエル・アグボラ氏は、Climate Home Newsの取材に対し「我々はナイジェリアの当面の電力需要に対応しようとしている」と語った。ナイジェリア農村電化庁によると、同国では人口のおよそ4割にあたる8500万人以上が安定した送電網からの電力供給を受けられていない。国の送電網はここ2年で約22回にわたり機能停止しており、送電インフラの老朽化やガス不足が原因とされる。
こうした停電の頻発を背景に、太陽光発電は家庭や商店にとって送電網より安価で信頼できる電力源になりつつある。調査会社ブルームバーグNEFの報告によれば、ナイジェリアの太陽光発電の累積導入量は約6ギガワットに達した。首都アブジャのウセ市場では商店の屋根という屋根に太陽光パネルが並び、ラゴスのアゲゲ地区では、LPV製のパネル100枚を屋上に設置した獣医用ワクチンの冷蔵保管施設が稼働準備を進めている。停電時でも冷却設備を24時間止めない狙いだ。
しかし設置されているパネルのほとんどは輸入品で、その多くが中国製というのが実情だ。ナイジェリアは2025年、約290万枚、金額にして4000億ナイラ超(約2億9500万ドル)相当のパネルを輸入し、うち7割以上が中国からのものだった。これによりナイジェリアは南アフリカに次ぐアフリカ第2位の中国製パネル輸入国となっている。ボラ・ティヌブ大統領は2024年、中国の投資家を前に「アフリカ大陸全体が使う太陽光技術をこの国で生産する準備を進めている」と述べ、国産化への意欲を示していた。
政府主導の国産化の試みは10年以上前からある。ナイジェリア科学工学インフラ庁がアブジャのカルシに設立した国内初の政府系太陽光パネル工場は、増強を重ねて年産能力を約50メガワットまで高めたが、急拡大する国内需要に比べればごく一部を賄うにとどまっている。政府はその後、ナサラワ州の「再生可能エネルギー産業パーク」など、より野心的な計画も打ち出している。
背景
太陽光パネルの製造は、シリコン精製からセル加工、モジュール組み立てに至るまで多くの工程を要する装置産業で、世界的に中国が生産能力・コストの両面で圧倒的な優位を築いてきたとされる。中国企業は政府支援を受けた大規模投資で規模の経済を実現してきた。ナイジェリアが目指す国産化は、この構図に割って入る試みといえる。
ナイジェリア政府が掲げる「ナイジェリア・ファースト」という産業政策は、輸入依存を減らし国内雇用を生み出すことを狙いとしている。太陽光は電力アクセスの改善という社会的課題と、製造業育成という経済政策の両方に関わるため、政府にとって優先度の高い分野に位置づけられているとみられる。ただし政府系工場の増強を重ねても需要に見合う供給には至っておらず、国産化の道のりはなお長い。
日本にとっての意味
ナイジェリアの事例は、アフリカのエネルギー転換が中国製品との競争という具体的な構図の中で進んでいることを示している。太陽光パネルの世界市場で中国が製造の大部分を握る状況は、日本の産業界にとってもよく知られた課題である。アフリカ市場でも同様の力学が働いている点は、日本企業が同地域での事業機会を検討する際の材料になる。
日本の太陽光関連メーカーや商社がアフリカ市場に参入する場合、価格面で中国製に対抗するのは難しく、蓄電池との組み合わせや設置後の保守サービスなど、価格以外の付加価値で差別化する道を探ることになりそうだ。また、ナイジェリアのように送電網が不安定な国でオフグリッドの太陽光発電が普及していく流れは、今後アフリカ各国に広がる可能性があり、日本のインフラ関連企業や開発援助の分野でも注視する価値のある動向といえる。