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聴覚障害者向けAI警報装置が英国ジェームズ・ダイソン賞受賞

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デザインを学んだガルギ・アグラワラ氏が、人工知能を使って耳の聞こえない人や聞こえにくい人に重要な音を知らせる装置で、2026年の英国ジェームズ・ダイソン賞を受賞した。ノックや火災警報など、気づかなければ危険につながる音が対象だ。

何が起きたのか

「SIVO.GO」と名づけられたこの装置は、500を超える音のサンプルで学習させた仕組みによって、そうした音を聞き分け、振動と光の点滅に変換する。音に頼らずに使う人を起こすことができる。

ラフバラー大学を卒業したアグラワラ氏は、自身の経験からこの装置を設計した。生まれつき重度の難聴で、12歳のときに人工内耳を受けている。手術によって初めて音を聞けるようになったものの、外側につける音声処理装置は就寝時や入浴時に外さなければならず、慣れない場所では落ち着かない思いをしてきた。

「SIVO.GOは、人工内耳を使う聞こえない者としての私自身の経験と、旅先や不慣れな場所に滞在するときに感じる不安から生まれた」とアグラワラ氏はDezeenに語っている。

既存の警報装置は、かさばるうえに高価だというのが同氏の見立てだ。しかも火災警報や赤ちゃんの泣き声など、特定の音ひとつだけを対象にしたものが多く、旅行のたびに機器一式を持ち歩く必要が生じる。

「人工内耳の利用者として、私はすでに充電器や乾燥ケース、防水用の付属品といった装備のことを考えなければならない。そこに安全のための機器がいくつも加われば、余計な負担になる」と同氏は述べる。「持ち運べるひとつの装置で複数の重要な警報をまかない、家を離れているときにもっと安心してもらえるようにして、その負担を減らしたかった」

背景

技術面で特徴的なのは、AIのモデルを端末の中だけで動かしている点だ。Wi-Fiやクラウドを経由しないため、使う人のプライバシーが守られ、通信のない場所でも動作が途切れない。

開発では誤検知が壁になった。試験の段階で、ドアのノックが足音や机を叩く音と取り違えられる例が多発し、学習させるサンプルを増やしても解決しなかったという。そこでアグラワラ氏は、ドアの裏側に目立たないように取り付けられる別体の振動センサーを用意した。音声の検知を振動の検知で補う構成だ。装置の試作は3Dプリンターで重ねられた。

英国のジェームズ・ダイソン賞の受賞者として、同氏には5000ポンドの賞金が贈られる。信頼性の向上、当事者を交えた試験の拡大、そして認証の取得と試験的な製造に充てる予定だという。今後は国際版の審査にも進む。

用途は聴覚障害に限らないとアグラワラ氏は考えている。「同じ種類の、誰もが使える警報の仕組みは、耳鳴りを抱える人、神経発達に特性のある人、疲れ切った新米の親、高齢の利用者、さらには音だけでは足りない状況にいる耳の聞こえる人にも役立ちうる」

日本にとっての意味

日本には、この分野を支える公的な制度がすでにある。聴覚障害者用屋内信号装置は障害者総合支援法に基づく日常生活用具の給付対象で、来客のチャイムや電話といった音を光や振動に変えて知らせる。多くの自治体が身体障害者手帳の等級などの条件を設けたうえで、8万7400円を上限に費用を支給している。

ただし制度が想定しているのは、名前のとおり「屋内」の信号装置だ。自宅に据え付けて使うことが前提で、旅先や出張先には持っていけない。アグラワラ氏が挙げた不安、つまり慣れない場所で眠るときに音が届かないという問題は、日本の給付制度の枠外に落ちている。

もう一つ注目したいのは、音の判別を端末の中だけで完結させた設計だ。日本でも障害のある人の生活を支える機器にAIを組み込む動きは広がりつつあるが、クラウドに音声を送る方式だと、自宅の生活音を外部に送り続けることへの抵抗や、通信が途切れたときに動かなくなる不安が残る。端末内で処理する構成は、この二つの懸念をまとめて解く。日本で福祉機器を設計する側にとっても、参照する価値のある選択だ。