コンゴ民主共和国、大統領3期目認める改憲に抗議 首都で衝突
コンゴ民主共和国の首都キンシャサで現地時間の9月15日、大統領の3期目就任を可能にする憲法改正に反対する行進の最中、野党支持者と政権支持派が衝突し、警察が催涙弾を使用した。南東部や北西部の地方都市では抗議行動そのものが禁止され、拘束者も出た。
何が起きたのか
野党連合「C64」の呼びかけで、現地時間の9月15日はコンゴ民主共和国各地で一斉に抗議行動が行われる日となった。キンシャサでは同連合を構成する各党の旗を掲げた数百人が行進を始めた。当局は行進予定ルートに大量の機動隊を配置していた。行進開始直後、政権支持派と野党支持者の間で衝突が発生し、警察が催涙弾を撃ち込んで抗議者を退散させた。AFP記者によると、この衝突で少なくとも2人が負傷したという。
キンシャサでは行進が禁止されたとは伝えられていないが、南東部の鉱業都市ルブンバシと北西部の州都ムバンダカでは、地元当局が事前に抗議行動を禁止していた。ルブンバシでは活動家らが禁止を無視して市中心部に集まり、警察が催涙弾と威嚇射撃で解散させ、複数人を拘束した。
野党「エンヴォル(Envol)」党の州コーディネーターのモハメド・エイエンガ氏は、「多くの活動家が不当に拘束された」と語った。これに対し、州警察司令官のブレーズ・キリンバリンバ氏は、平和的なデモ参加者を拘束した事実はないとした上で、市民が通常の活動を続けられるよう措置を取ったとした。
ムバンダカでも同様に抗議は禁止されており、武器を構えた治安部隊がおよそ100人の活動家を解散させた。AFP記者によると、およそ10人が拘束された。
背景
この一連の抗議は、フェリックス・チセケディ大統領が自身の3期目就任を可能にするための憲法改正を進めようとしていることに対するものだ。コンゴ民主共和国の現行憲法は大統領の任期を制限しており、チセケディ氏はこの制限を変更しようとしている。これに反発する野党各党が結集して結成したのがC64という連合で、今回の全国一斉行動はその一環として呼びかけられた。
なお、コンゴ民主共和国は隣国のコンゴ共和国とは別の国であり、名前が似ているため混同されやすい。今回の舞台は、キンシャサを首都とし、アフリカ中部で人口・面積とも大きい方の民主共和国である。
今回の一連の動きで目を引くのは、首都キンシャサでは行進が行われた一方、地方の主要都市では事前に禁止されていたという対応の違いだ。
日本にとっての意味
コンゴ民主共和国は、南東部の主要な鉱業都市ルブンバシを中心とする地域を含め、電池材料の重要な産地として知られる。とりわけコバルトはリチウムイオン電池の正極材に広く使われ、電気自動車やスマートフォンの製造を支えているとされる。同国は世界のコバルト生産の大半を占めるとされ、調達先が偏っていることは、日本の自動車メーカーや電池メーカーにとって価格変動や調達計画上の懸念材料となっている。
今回報じられているのは首都や一部都市での抗議とそれに伴う衝突・拘束であり、鉱山の操業や輸出そのものが止まったという事実は含まれていない。ただし、任期制限をめぐる改憲は政変や政情不安の前触れになりやすいテーマであり、今後同様の動きが拡大すれば資源供給や物流に影響が及ぶ可能性があるという指摘がある。具体的には、コバルト価格や電池材料の調達先の動きが、日本で売られる電気自動車や電子機器の価格に反映されうる。