気候・災害

ギニアビサウでサーディネラ激減、魚粉生産に関連の疑い

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西アフリカのギニアビサウ沖で、住民の重要なたんぱく質源である魚サーディネラの資源量が急速に減っている。調査報道機関OCCRP(Organized Crime and Corruption Reporting Project)の報告によると、この減少は魚粉(フィッシュミール、魚を乾燥させ粉状にした家畜飼料の原料)向けの産業規模の漁獲と関連しているとみられる。ギニアビサウ政府はこの資源減少を受けて魚粉生産を禁止した。

何が起きたのか

ギニアビサウ政府向けの資源評価では、マデイラサーディネラ(Sardinella maderensis)とラウンドサーディネラ(Sardinella aurita)の2種の資源量が大きく落ち込んでいることが示された。OCCRPによれば、この落ち込みの時期は、中国系の魚粉工船2隻と、これに魚を供給するトルコの漁船団がギニアビサウ沖に進出した時期と重なる。

OCCRPの報告を共同執筆したヨゼフ・スクルドリク氏はMongabayへの電子メールで、サーディネラの回遊パターンは十分に解明されておらず、資源減少には他の説明もあり得ると認めている。そのうえで、政府の資源評価と自ら集めた輸出データを重ね合わせた結果、中国資本の工船が主な原因だとの見方を示した。同氏の試算では、洋上の工船に関連する企業による魚粉輸出量は、原魚換算で少なくとも35万トン分に相当する。これに対し、2013年時点の両種を合わせた資源量の推定は27万109トンだったという。

この資源評価を受けてギニアビサウ政府は魚粉生産を禁止した。漁業・海洋経済省で産業漁業を担当するアマドゥ・ジャロ氏はOCCRPの取材に対し、魚粉部門がサーディネラ減少の原因だとの認識を示し、禁止措置は「人が食べるための魚、とくに恵まれない人々のための魚」を守るためだと説明した。現地の漁師テジャン・ジューフ氏は、以前は1、2日の出漁で十分な漁獲が得られたが、「今では4日か5日は海に出る必要がある」と述べ、それでも積んでいた物資が尽きる前に望む量を獲れないことがあると語った。

背景

サーディネラはイワシに近い小型の回遊魚で、西アフリカ沿岸の湧昇流(栄養分に富んだ深層の海水が表層に上がる現象)によって育まれる豊富な資源の代表格とされる。安価に手に入るたんぱく源として、ギニアビサウを含む西アフリカ諸国の食生活を支えてきたとみられる。

洋上での加工、つまり漁獲した魚を工船上でそのまま魚粉にしてしまう手法は、陸上の工場に比べて操業の実態を外部から把握しにくく、規制や監視が難しいとスクルドリク氏は指摘する。近隣の西アフリカ諸国でも、外国資本の魚粉工場の進出が住民の反発を招いてきたという報道が過去にもある。人が食べるための魚を家畜や養殖の飼料に回すこと自体の是非も、こうした問題の根底にある論点として繰り返し指摘されてきた。

日本にとっての意味

今回の報告書には、ギニアビサウ産の魚粉の輸出先や、それが日本に渡っているかどうかについての記載はない。ただし魚粉は国際的に取引される商品であり、産地の一つで供給が急減すれば、価格や需給を通じて世界の魚粉市場全体に影響が及ぶ可能性がある。日本の養殖業のうち、ブリやマダイは輸入魚粉への依存度が高いとされる。

より広い論点として、人の食用になり得る魚を飼料原料に回すという構図は、世界各地の養殖生産を支える一方で、現地の食料安全保障を脅かしかねないという緊張関係をはらむ。日本は水産物の輸入大国であり、養殖用飼料の原料調達においても、こうした生産地の資源管理や労働・環境面の問題と無縁ではない。今回のような洋上加工船の実態把握の難しさは、サプライチェーンの透明性という観点からも注視に値する。