トーゴ、市民社会弾圧の中でオンライン抗議へ活動の場を移す市民たち
トーゴでは対面での抗議集会を組織するのが難しく、危険も伴うようになったため、市民はオンラインでの発信に活動の場を移しつつある。2025年6月の大規模な抗議行動をきっかけに、当局はインターネットの遮断やSNS投稿の取り締まりを強め、活動家の逮捕が相次いでいる。それでも人々は形を変えながら声を上げ続けている。
何が起きたのか
現地時間の2025年10月3日、検察官マワマ・タラカはSNSの「乱用的で無秩序な」利用を公然と非難し、法的枠組みの外にあるとみなされる投稿やコメントについては、その筆者を訴追すると警告した。投稿への賛同を示す行為も罪に問われうるとする「賛同による共犯」という考え方にも言及している。同じ日、助産師で人権活動家のグレース・コウマイ・ビヨキが、オンライン上の動画投稿を理由に自宅で逮捕された。
人権団体アーティクル19は、2025年8月から10月にかけて市民の活動空間が憂慮すべき形で狭まったと説明している。2025年11月には政令が出され、訴追の対象は投稿そのものにとどまらず、他人の投稿への「いいね」のような軽微な反応にまで広げられた。
弁護士で人権擁護活動家のアウェファ・ソス氏は、こうした表現の場の静かな縮小は逮捕そのものより深刻だと指摘する。萎縮効果には測定可能な痕跡が残らないからだという。2年前なら自由に発言していた人々の多くが、今は沈黙を強いられているという。女性の人権擁護者が嫌がらせや家族からの圧力でオンライン上の活動を縮小・停止せざるを得ないという、性別特有のリスクも指摘されている。国外へ出ることを選んだ人たちも、発言の代償を払っている。
背景
この状況の起点は、現地の2024年3月25日に国民議会が採択した新憲法にある。この改正でトーゴは大統領制から議院内閣制に近い体制へ移行し、国民の直接選挙で選ばれていた大統領は議会が選出する儀礼的な地位になった。実権を握る閣僚評議会議長(President of the Council、事実上の政府トップにあたる)には任期の制限がなく、フォール・ニャシンベが20年にわたり国家元首を務めた後、2025年5月からこの地位に就いている。
政府はこの改革を安定と協調的な統治の実現だと説明したが、野党は反発した。政治学者で民主的統治・危機予防センター代表のエル・アジ・マディ・ジャバカテ氏は、この改革について「権力の集中を憲法に書き込んだ」ものだと評している。
この反発は、シビカス(CIVICUS Lens)が2017年以来最大級と位置づける2025年6月の大規模デモにつながった。きっかけは、生活苦や政治腐敗についてオンラインで発言していたラッパーのアムロンが逮捕されたことだった。参加者は主に経済・社会面の要求を掲げ、周辺国の中でも低水準とされた最低賃金を月52,500CFAフラン(約93ドル)へ引き上げることや、停電を1日4〜6時間までにとどめることを求めた。警察はデモを暴力的に鎮圧し、6月中に少なくとも7人が死亡、140人超が逮捕された。
暴力を公然と批判した元国防相エソシムナ・マルグリット・ニャカデ氏は、アムネスティ・インターナショナルの2026年の年次報告書によると、現地の2025年9月17日に「反乱の扇動」容疑で逮捕された。ラッパーのアムロンも現地の2025年9月19日に同じ容疑で再逮捕され、その後保護観察付きで釈放されている。この弾圧のさなかに結成されたのがM66(6月6日運動)で、公式のスポークスパーソンも法的な団体としての地位も持たない。ソス氏によれば、この形態は当局にとって取り締まりの標的を絞りにくくする一方、参加者は正式なデモに通常伴う法的保護を失うという二面性を持つ。
現地の2025年6月26日、抗議の開始とともに全国規模のインターネット遮断が始まった。現地の2025年6月25日から27日にかけて集められた1万5千件を超える通信データは、固定・携帯双方の回線での組織的な通信障害を示しており、特にFacebook、TikTok、YouTubeへの接続が妨げられた。遮断は抗議行動終了後も解除されず、2025年8月末になっても報告が続いていたため、一部の利用者は仕事や連絡の継続のためにVPN(仮想プライベートネットワーク)に頼らざるを得なかった。
日本にとっての意味
この記事が示すのは、どのような集会が危険とみなされ、どのような手段が取り締まりの対象になっているかという具体像だ。取り締まりの対象は街頭の集会だけでなく、Facebook、TikTok、YouTubeといった日常的なSNSでの発信にも及び、通信の遮断で利用者はVPNでの迂回を強いられた。
投稿への「いいね」だけで訴追の対象になりうるという規定は、日本の感覚からすると極端に映るかもしれないが、SNS上の軽微な反応までもが取り締まりの対象になる社会が実際に存在することを示している。これは日本の読者が日々使っているのと同じプラットフォームをめぐる話でもある。
トーゴと日本の間に直接の経済的・外交的な結びつきは薄いとみられる。しかし、対面での抗議が難しくなった状況で市民がオンラインへ活動の場を移し、当局がネット遮断やSNS取り締まりで応じるという構図は、他の国でも繰り返し見られる型になりつつある。言論と通信の自由がどのように制限されうるかを具体的に知ることは、日本の外側で起きていることを理解する手がかりになる。