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ウクライナで性暴力1000件超、国連調査で判明 加害の9割近くはロシア側

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国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が、ロシアの侵攻開始から2026年7月末までにウクライナで確認された性暴力事案が1000件超にのぼるとする報告書をまとめた。被害は民間人と捕虜の双方に及び、加害の9割近くがロシア側によるものとされている。現地時間の9月18日、国連の現地人権監視チーム(Human Rights Monitoring Mission in Ukraine)を率いるダニエル・ベル氏が記者団に報告内容を説明した。

何が起きたのか

報告書は、集団強姦や強姦、性器への電気ショックや暴行など、性的な虐待行為を1000件以上、文書化したとしている。加害の89%はロシア軍や刑務所当局、国家保安機関の関係者によるもので、残る11%がウクライナ側によるものとされ、そのうちの約半数は脅迫にとどまるという。ベル氏は、双方で事案が確認されたとしつつも、その「規模と範囲」は大きく異なると強調した。

被害はロシア側に拘束された人々に特に集中している。元捕虜の約4分の3、拘束された民間人の約半数が、複数回にわたり性暴力を受けたと証言したという。被害者の多くは男性で、特に拘束施設内でその傾向が強かった。ロシア軍に拘束されたウクライナ人捕虜や、抑留された医療要員のうち155人(27%)は、旧ソ連時代の軍用野戦電話機で電流を流す装置「タピク(tapik)」を使った電気ショックを、少なくとも一度は受けたと証言した。

女性や子どもも占領地域を中心に被害を受けている。確認された強姦被害者は最年少が4歳の女児、最年長は82歳の女性で、いずれもロシア側による加害とされる。ザポリージャのある女性は、ロシア兵が自宅に居座り、拘束中の夫の処遇を良くするのと引き換えに、1か月にわたり週に何度も強姦されたと証言した。国連人権高等弁務官のフォルカー・テュルク氏は「加害者が誰であれ、直ちに止めなければならない」と述べている。

背景

ロシアによるウクライナ侵攻は2022年2月に始まり、以来、東部・南部の広い地域が占領下に置かれてきた。戦時における性暴力は、国際人道法上、戦争犯罪や人道に対する罪として扱われうる行為であり、国連は紛争地域でこうした事案を体系的に記録する取り組みを続けている。今回の報告は、その一環としてOHCHRの現地監視チームが被害者や元捕虜への聞き取りを積み重ねてまとめたものとみられる。

ベル氏は、ウクライナ側が国連の監視チームに捕虜収容施設や拘束施設への「制約のない立ち入り」を認めていると説明した一方、ロシア側について同様の言及はない。占領下や係争地域での調査には限界があるとみられ、今回の1000件超という数字も、実際に把握しきれていない被害を含めれば、より大きい可能性がある。

日本にとっての意味

今回の報告で目を引くのは、拘束施設内の被害者の多くが男性だったという点だ。性暴力の被害は女性が中心という前提で語られがちだが、男性被害者の存在が公的な調査で具体的な数字とともに示された意味は大きい。海外の紛争調査は自国の支援体制を見直す材料にもなりうる。

日本は国際刑事裁判所(ICC)の締約国であり、ウクライナからの避難者の受け入れも行ってきた。戦況をめぐる報道は前線の攻防や外交交渉が中心になりやすいが、今回のような人権調査は、その裏側にある個人の被害の実態を可視化するものだ。戦争の被害を数字や地図としてだけでなく、こうした証言の積み重ねとして捉える視点は、日本の読者にとっても紛争を理解するうえで欠かせない。