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ウガンダ、批判者引き渡し要求巡りトルコとの軍事協力停止

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ウガンダ軍が現地時間9月19日、トルコとの軍事協力を全面停止したと発表した。背景には、ムセベニ大統領を批判してきたブロガー、フレッド・ルンブエ氏の身柄引き渡しをウガンダ側がトルコに求め、応じてもらえずにいた対立がある。ウガンダとトルコは10年近く軍事分野で緊密な関係を築いてきたが、それが一気に停止に追い込まれた形だ。

何が起きたのか

ルンブエ氏はムセベニ政権への批判で知られる政治コメンテーターで、暴力の扇動、虚偽情報の拡散、コンピューター不正使用など15件の刑事容疑をかけられている。トルコ国内にいるとみられ、ウガンダ政府はトルコにその引き渡しを迫ってきた。この問題を巡っては、ムセベニ氏の息子で後継者と目される軍司令官ムホジ・カイネルグバ氏がたびたびトルコ当局と衝突してきたという。

現地時間9月18日には、ムホジ氏に近い政治団体(Patriotic League of Uganda)に連なる数千人が首都カンパラのトルコ大使館前で抗議した。その翌日、ウガンダ軍報道官のクリス・マゲジ氏は声明で「ウガンダ国防軍(UPDF)は、トルコ共和国とのあらゆる防衛・軍事協力を即時停止した」と発表した。マゲジ氏は、停止措置が両国間の防衛・軍事協力を巡る「未解決の問題」が解決するまで続くとしたが、その具体的な中身は明らかにしていない。

停止されたのは、軍事訓練、武器や監視機器の供与、技術移転、対テロ・治安分野での協力など、両国が10年近くかけて築いてきた広範な防衛関係だ。ウガンダ側の圧力は軍事分野にとどまらない。トルコ企業ヤピ・メルケジとの30億ドル規模の鉄道契約を打ち切り、ウガンダ国内のトルコ人を国外退去させる構えも示しており、外交、経済、軍事の各方面で同時に圧力をかける展開になっている。

背景

ムセベニ氏は1986年以来ウガンダの大統領を務めており、長期政権下で言論の自由や反対派への締め付けがたびたび問題視されてきた。国外にいる批判者に対しても、身柄の引き渡しを求めたり圧力をかけたりする動きが繰り返されてきたとされる。今回の一件も、その延長線上にあるとみられる。

トルコ側は近年、アフリカ各国との関係強化を積極的に進めており、外交や経済だけでなく軍事分野でも存在感を増してきたという指摘がある。武器や監視機器の輸出、軍事訓練の提供などを通じて、アフリカの複数の国と防衛協力の枠組みを築いてきたとされる。ウガンダはソマリアでのアフリカ連合の活動に部隊を出すなど地域の安全保障で一定の役割を担ってきた国でもあり、トルコにとっても重要な協力相手だったとみられる。

もっとも、トルコ自身も自国政府に批判的な人物を国外で追及してきたとされる経緯があり、他国からの引き渡し要求に簡単には応じにくい立場にある。今回、ウガンダ側の要求にトルコが応じなかったことが、長年の協力関係を一気に揺るがす引き金になった格好だ。

日本にとっての意味

日本のアフリカ報道は、アフリカ開発会議(TICAD)を軸に、中国の影響力拡大への対抗という文脈で語られることが多い。しかし今回のように、トルコが軍事協力の担い手としてアフリカ各国に食い込み、時に外交上の摩擦の火種にもなっている。アフリカを巡る大国間の駆け引きは、中国対欧米という単純な構図では捉えきれなくなっている。

この一件は、自国を批判する人物が国外に逃れた場合に、本国政府がその引き渡しや身柄拘束を求めて圧力をかける「トランスナショナル・リプレッション(transnational repression、国境を越えて自国の反体制派を追及する手口)」の一例としても読める。今回はウガンダがトルコに要求する側だったが、同様の構図は世界各地で起きており、国外の批判者を狙う政府の側と、それを受け入れる側の対応が問われる場面は珍しくない。

日本が犯罪人引渡条約を結んでいる相手国は米国と韓国の2か国にとどまり、政治的な理由による訴追については引き渡しを認めない原則もある。日本国内に住む外国人が本国政府を批判している場合に、本国政府がその身柄の引き渡しや情報提供を求めてきたら、日本の司法・行政はどう対応するのか。今回のウガンダとトルコの摩擦が示す論点と地続きの問題だ。