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作品を後付けにせず躯体に組み込む オークランドの新3駅、マオリの設計原則で

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建築事務所グリムショーが、ニュージーランド・オークランドの都市鉄道City Rail Link向けに3つの駅を設計した。駅名はテ・ワイホロティウ、カランガ・ア・ハペ、マウンガファウで、いずれもマオリ語である。設計はその土地に慣習的な権威を持つマオリの集団マナ・フェヌアと組んで進められ、各駅の入口ホールに置かれた作品は、後から取り付ける層としてではなく建物の躯体に作り込まれた。

何が起きたのか

3駅はいずれも市の中心部にあり、City Rail Linkの一部をなす。この路線が入れば、オークランドの既存の鉄道網の輸送力は倍になる。グリムショーによれば、ニュージーランドでこれまでに行われた交通インフラ事業として最大のものだ。

設計を導いたのは、マオリの文化的価値観に沿ったTe Arangaマオリ設計原則である。同事務所が3駅に通す軸として選んだのは、テ・ファイアオ(Te Whaiao)だった。マオリの語りに伝わる創世の物語で、夜明けの最初のきらめきを指す。これを建物に移すために、空、大地、境界、そして「第四」と名づけた四つの建築要素が立てられた。暗い層、明るい層、光を透かす層という素材の重なりが、3駅すべてに共通して使われている。

外に出ているのは、空調機械室のファサードを覆うアルミのスクリーンだ。パラメトリックな設計ツールを使い、12種類のシングル(板)と取り付けレールの組み合わせを変えることで、駅ごとに違う柄を作った。柄は、空の性質を表す伝統的なマオリの美術につながっている。

床材には地元の地質が反映された。大地の要素に応える部分である。テ・ワイホロティウとカランガ・ア・ハペにはプレキャストのモジュラーパネルが敷かれ、マウンガファウには砂岩と玄武岩が使われた。

3駅に共通する設計の言葉を作ることも狙いのひとつだった。壁の仕上げと、細い材を並べた格子状の天井が、全駅で揃えられている。

グリムショーのグループ・マネージング・パートナー、マーク・ミドルトン氏は、これを「オークランドの動き方を永久に変えるインフラ」と表現した。同氏によれば、この事業の持続する価値は交通と公共空間と文化的な帰属の関係にあり、タマキ・マカウラウ(オークランドのマオリ語名)と、これから使う世代のために設計された路線網だという。

背景

各駅の入口ホールには、マナ・フェヌアが指名した作家の、その場所に固有の作品が置かれている。これらは建物の躯体の中に作り込まれた。後から別の層として貼り付けるのではなく、駅と一体のものにするためだ。

テ・ワイホロティウ駅では、作家のグレアム・ティペネ氏が、ウェルズリー・ストリート側の入口のフォワイエに「ホロティウ」という天井の設置作品を作った。金色に陽極酸化したアルミの棒を4000本以上使い、近くを流れるワイホロティウ川に生えるガマの揺れを想起させる。その中心に据えられているのが、パラオネ・ルイテン=アピラナ氏が彫ったカウリ材の彫刻だ。この一帯の守り神とされる海蛇、ホロティウの姿をしている。

カランガ・ア・ハペ駅には、ルーベン・カークウッド氏の作品が二つ入った。マーキュリー・レーン側の入口にあるのは、陽極酸化アルミの放射状のパネルで作られたカタツムリの殻の彫刻3点で、人と自然のつながりを表す。ベレスフォード・ストリート側の入口の天井にあるのは、太陽の力と月の満ち欠けと潮の関係を見せようとする作品で、これはマオリに伝わる太陰暦の形でもある。

マウンガファウ駅には、作家のテッサ・ハリス氏が設計し、ソフィア・アティネウ氏が制作した三角形が入った。駅名のもとになった火山を参照している。写真はピーター・ベネッツ氏が撮影した。

日本にとっての意味

日本にも、先住民族の文化を建物そのものに入れた公共施設がある。北海道白老町のウポポイ(民族共生象徴空間)だ。

中核にある国立アイヌ民族博物館は、国土交通省北海道開発局が平成30年(2018年)1月から令和2年(2020年)2月にかけて建てた。鉄骨造一部鉄骨鉄筋コンクリート造の3階建てで、延べ面積は8618平方メートル。2階に展示と収蔵をまとめ、高床の「倉」(アイヌ語でプ)の形をとる。館内の表示はアイヌ語を第一言語として掲げている。そして、博物館で使われたアイヌ文様はすべて、アイヌ服飾文様研究家の津田命子氏が監修した。ウポポイの開業は2020年7月で、博物館は先住民族アイヌの歴史と文化を主題とした日本で初めての国立博物館とされる。

作り方はオークランドの3駅と近い。違うのは、設計の相手方が誰かである。

アイヌ施策推進法は2019年5月24日に施行された。アイヌの人々を先住民族と明記した最初の法律だ。この法律が「施策の中心的な実施主体」と位置づけたのは、市町村である。市町村が区域内のアイヌ施策の計画(アイヌ施策推進地域計画)を作り、内閣総理大臣に認定を申請する。認定されれば、計画に基づく事業の費用に交付金が出る。書ける事業は、アイヌ文化の保存または継承、アイヌの伝統への理解の促進、観光その他の産業の振興、地域内外の交流の促進などだ。交付金を活用した市町村は、制度が始まった令和元年度の14から令和7年度の37に増えた。計画の認定を受けているのも、令和7年(2025年)12月1日時点で37市町村である。

計画を作るとき、市町村は意見を聴かなければならない。聴く相手は、計画に記載しようとする事業を実施する者だ。

内閣官房アイヌ総合政策室が2025年12月にまとめた施行5年後の検討結果には、各地で開いた意見交換会で出た声が並んでいる。交付金の項に載っているのは、「市町村によって、担当者の有無やアイヌの意見聴取や説明方法、対応方針等にばらつきがある」という意見だ。

オークランドの3駅で、作品は後から貼る層ではなく、躯体の中にある。設計の枠組みについても同じことが言える。土地に慣習的な権威を持つマオリの集団は、意見を聴かれる相手としてではなく、事業を共に進める側としてそこに入っている。日本の仕組みでは、その位置に市町村が座る。アイヌの人々がどこでどう関わるかは、市町村ごとの運用に委ねられる。ばらつきがあることは、政府自身が書いている。