南スーダン、初の国政選挙前に大統領が政権解体 直前の法改正が波紋
南スーダンで現地時間の9月22日、大統領が移行政府を解体した。同国が独立後初めて迎える国政選挙は現地の12月22日に予定されており、国内では厳重な警戒態勢が敷かれた。専門家からは、選挙直前に行われた法改正によって、大統領が移行過程の全権を握ることになったとの指摘が出ている。
何が起きたのか
サルバ・キール大統領は現地時間9月22日、移行政府の解体に踏み切った。南スーダンにとっては独立以来初めてとなる国政選挙を、現地の12月22日に控えたタイミングでの決定である。当日は治安部隊が各地に厚く配置されたと伝えられている。
この移行政府の解体に先立ち、選挙を目前にした法改正が行われていた。改正では、投票の前提とされてきた恒久憲法の制定と国勢調査の実施という要件が撤廃された。この改正について、専門家からは、大統領に移行過程を進める上での全権に近い強い権限を与えるものだとの警告が出ている。
背景
南スーダンは2011年、長年の内戦を経てスーダンから分離独立し、世界で最も新しい国家となった。しかし独立からわずか2年後の2013年には内戦が再燃し、国内は大きく疲弊した。2018年に和平合意が結ばれ、2020年には対立していた勢力が加わる形で移行政府が発足したが、その後も選挙の実施は繰り返し先送りされてきたとみられる。
独立から15年余りが経つ現在まで、南スーダンでは一度も国政選挙が実施されていない。今回の12月22日の投票が実現すれば、国家としての正統性を有権者の審判によって初めて確立する機会となる。それだけに、投票直前の法改正が大統領への権力集中を招くとの見方は、移行過程の総仕上げという選挙の意味合いを揺るがしかねないものとして注目されている。
日本にとっての意味
南スーダンは、日本にとって縁の浅くない国である。自衛隊は2012年から2017年まで、国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)に施設部隊を派遣し、道路整備などの復興支援にあたった。この派遣をめぐっては、現地の治安情勢を記した日報の取り扱いが国内で問題となった。防衛省が一時廃棄したとされていた日報の存在が後に判明し、「日報隠蔽問題」に発展して当時の防衛大臣の辞任にまで至った。
自衛隊が撤収してから9年余りが経つが、南スーダンの移行過程はその後も続いてきた。その総仕上げにあたる初の国政選挙は、直前の法改正によって大統領に権力が集まる形で迎えられている。かつて日本が人的貢献をした国であり、その行方を占う意味で見ておく価値がある。選挙が公正に実施されるか、それとも混乱を招くかは、国連PKOのあり方や国際社会の関与の評価にも関わってくるとみられる。