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モロッコ総選挙、投票率38%で2007年以来の低さ

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モロッコで現地の9月23日に総選挙の投票が行われ、投票率は38%と、2007年以来で最も低い水準にとどまった。約1600万人の登録有権者のうち、18〜24歳は全体の約4%にすぎなかった。現地24日に発表された暫定結果では、中道右派の真正性近代化党(PAM)が395議席中97議席を獲得し、他党を上回った。

何が起きたのか

暫定結果によると、PAMに次いで、退陣する連立政権を率いてきた国民独立連合(RNI)が66議席、保守系のイスティクラル党が65議席、イスラム系野党の公正発展党(PJD)が54議席を獲得した。モロッコは多党制の議院内閣制をとっており、連立によって権力を分かち合う仕組みのため、PAMが最多議席を得たとはいえ、新政権を担う連立の枠組みは今後の交渉で決まる。

登録有権者に占める18〜24歳の割合はわずか4%程度で、投票率自体も38%という低さだった。新たな連立政権は、2030年ワールドカップの共同開催に向けた準備や、格差の是正、若者の不満への対応を担うことになる。

2026年7月下旬には、主に若者からなる数万人のモロッコ人がスペイン領セウタへ一気に流入する移民危機が起きていた。また2025年9月には、医療や教育の改善を求める「Z世代」の抗議運動が街頭で広がっていた。今回の低投票率は、こうした若者の不満が投票所ではなく、抗議デモや国外への移動という形で表れてきたとみられることと重なる。

背景

モロッコでは国王が外交・軍事・宗教分野で強い権限を持ち、議会と内閣が国内政治の運営を担う立憲君主制をとっている。今回の総選挙は、2025年のZ世代の抗議運動や、若者を中心とするセウタへの越境の後、初めて行われる下院選挙だった。抗議運動やセウタへの越境は、いずれも投票という制度の外側で若者の不満が表出した動きだったとみられる。

今回の投票率38%、登録有権者に占める18〜24歳の割合約4%という数字は、その不満が選挙という制度の内側にはほとんど反映されなかったことを示しているとみられる。

日本にとっての意味

モロッコの記事が伝えるのは、「若者の不満が票の計算に入ってこない」という構図である。日本にも同じ問題を映す仕組みがあるが、その現れ方は違う。

日本の選挙人名簿には、公職選挙法21条1項により、市町村内に住所を持つ満18歳以上の日本国民が、住民基本台帳に三箇月以上記録されていれば、本人の申請なしに登録されるとされる。モロッコのように「登録されているかどうか」の段階で若者が制度の外に置かれるのではなく、日本では名簿に載った後の投票率の段階で若年層の低さが表れるとみられる。総務省の抽出調査では、国政選挙の20歳代の投票率は全体を下回り、60歳代とは大きな差があるとされる。

もう一つの仕組みが、進学などで転居した直後の名簿登録地のずれである。公職選挙法21条2項は、転出後も住民票作成日から三箇月以上記録されていた者を、転出から四箇月を経過しないあいだ元の市町村の名簿に登録すると定めているとされる。この間に滞在先で投票する場合、名簿登録地の選挙管理委員会に投票用紙等を請求したうえで、滞在先の市区町村の選管に持参して不在者投票をする手続きが必要になるとされる。海外に生活の場を移した人については、公職選挙法30条の2第3項により在外選挙人名簿への登録が「申請に基づき」行われる申請制とされており、登録者数は国内の選挙人名簿と比べてごく小規模にとどまるとみられる。

モロッコの記事が示す「投票箱に届かない若者の不満」は、日本では抗議デモやセウタのような越境という目に見える形ではなく、投票率の年代差や、名簿登録地と実際の居住地のずれという、制度の内側の数字として静かに現れている。