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1221年創業のフィレンツェの薬局、デザインデュオのフォルマファンタズマをクリエイティブディレクターに

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世界で最も古くから続く薬局の一つ、イタリア・フィレンツェの「サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局」(オフィチーナ・プロフーモ=ファルマチェウティカ・ディ・サンタ・マリア・ノヴェッラ)が、イタリアのデザインデュオ、フォルマファンタズマをクリエイティブディレクターに起用した。

何が起きたのか

スタジオを創設したアンドレア・トリマルキ氏とシモーネ・ファッレジン氏は、主に同社の製品を担う。製品に隠れた歴史を掘り起こして新製品に生かし、包装、広報、店舗、催しにも意見を出す。

フォルマファンタズマは、新しいイメージで同社をつくり直すつもりはないと述べた。すでにあるものから出発し、1221年から同社が意味を持ち続けてこられた理由を理解し、それを現在と未来に生かすという。歴史の伝え方、新製品の開発の仕方、同社のさまざまな表現を一つのまとまりにする方法を見直すことになる。同社も、2人の役割は、材料と処方と技として8世紀守ってきた知識と、それが進化していく道筋に目を配るキュレーターだと説明した。

背景

同社の始まりは1221年、ドミニコ会の修道士が薬草を育て、フィレンツェの教会の診療所のために薬や軟膏をつくったことにある。やがて一般向けの薬局となり、メディチ家の宮廷の御用達を経て、化粧品や香水も手がけるようになった。いまは主に香水店として営業している。

フォルマファンタズマは、特定の素材を徹底的に調べる研究で知られ、林業が世界に与える影響や羊毛の生産を扱ってきた。同社にも、素材と持続可能性を調べる手法を当てはめる。2人は、長い蓄積を扱うことは、ものがどう保存され変わっていくか、過去を止まったものとして扱わずに組織がどう前に進めるかという、自分たちの関心に近い問いだと話す。2026年7月には、ロンドンのサーペンタイン・ギャラリーズで初めての「エコロジー・アドバイザー」にも就いている。

日本にとっての意味

長く続く店や会社の多さでは、日本も際立つ。帝国データバンクによると、2025年12月時点で業歴100年を超える企業は4万6708社あり、企業全体に占める割合は3.11%と初めて3%を超えた。業歴1000年の企業も11社あり、江戸幕府が開かれた1603年以前の創業は178社ある。サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局が生まれた1221年は、日本では鎌倉時代の初めに当たる。

薬の老舗もある。栃木県高根沢町の宇津救命丸は1597年創業で、いまは子どもの夜泣きなどに使う小児薬を専門にするメーカーである。同社は「伝統と革新」を通じて家族の健康に貢献すると掲げる。過去を止まったものとして扱わずにどう前に進むかというフォルマファンタズマの問いは、4万社を超える日本の老舗にも通じる。