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オランダの大堤防アフシュライトダイク、2m かさ上げし魚道と自転車道も 約1世紀ぶりに海と湖の魚の行き来を戻す

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オランダの大堤防アフシュライトダイクの改修が終わった。北海の高潮と洪水から国を守るため1927年から1932年にかけて築かれた全長32kmの堤防で、内側のアイセル湖と外側のワッデン海を隔てている。改修はこの8年をかけ、現在の安全基準に合わせ、激しさを増す気象と海面上昇に備えた。設計にかかわったオランダの設計事務所ベンテム・クラウエルによると、1万年に1度の激しい嵐にも耐えられるという。

何が起きたのか

堤防は全長にわたって、「レフェル・ブロック」と呼ぶかみ合うコンクリートブロック7万5000個で補強され、2m高くなった。ブロックはあえて対称で規則正しい模様に並べ、表面を粗く仕上げて海藻などが付きやすくした。

ポンプ場と排水用の水門、高潮を防ぐ防潮施設も加えた。新しいポンプは高さ4mのドーム6つに収められ、通りかかる人から見える。事務所は、意図して見せることにした数少ない建築要素だとしている。高さ12m近いポンプが、アイセル湖の余分な水を毎秒27万5000リットル、ワッデン海に吐き出す。オリンピック用のプールを9秒で満たす量だという。

堤防には幅15mの開口が切り込まれ、魚がアイセル湖とワッデン海を行き来できる通り道になる。堤防が約1世紀にわたって遮ってきた、海水と淡水の間の大切な回遊域を取り戻すものだ。魚道の公式サイトによると、最初の魚が通るのは2027年12月の予定である。事務所のパートナー、ダニエル・ヨンティン氏は、水をただ締め出す発想から、洪水対策と生態系のつながりを両立させる発想への転換だと説明する。ワッデン海側には展望台のある自転車と歩行者の道を新たに設け、アイセル湖側の既存の道も残した。

背景

オランダは国土の4分の1が海面より低い。アフシュライトダイクは1930年代にゾイデル海を締め切ってアイセル湖を生み、国の水の管理の仕方を根本から変えた。ヨンティン氏は、求められたのは、堤防本来の役割を見失わずに、記念碑としての性格を強めることだったと話す。機能は見えるように残し、それを支える技術は隠したという。

改修は2018年から、建設会社BAM、海洋工事のファン・オールト、投資会社のレベルとインベシスと組んで進めてきた。この企業連合が今後25年間、維持と管理を担う。

日本にとっての意味

海水と淡水の境を断った構造物は日本にもある。三重県の長良川河口堰は1995年に完成した。愛知県の長良川河口堰最適運用検討委員会が2022年3月にまとめた報告書によると、川底をしゅんせつして洪水を流れやすくすると塩水がさかのぼるため、それを止める堰が必要になったという経緯がある。報告書は、堰によって上流の汽水域が消え、魚をはじめ多くの生き物の行き来が妨げられたと指摘し、5年以上の開門調査を求めている。海で育って川をさかのぼる天然のサツキマスが残っているのは、いまや長良川だけだとも記す。

堰には水資源機構が設けた魚道が3種類あり、魚が上り下りできるようにはなっている。それでも、日本自然保護協会の機関誌は運用30年の2025年、開門を求める声は今も絶えないと伝えた。アフシュライトダイクは、堤防そのものに15mの穴を開ける道を選んだ。