ザンビアの英ベダンタ系銅鉱山で化学物質流出、政府が原因調査
英国の資源会社ベダンタ・リソーシズ(Vedanta Resources)傘下の銅鉱山で、化学物質とみられる流出があり、川の変色と魚の死を住民が目撃した。ザンビア政府は原因の調査と罰則の検討を進めているが、この鉱山は過去にも英国での訴訟に発展した汚染問題を起こしている。
何が起きたのか
ザンビアのカッパーベルト州チンゴラ地区を流れるカフエ川で、現地時間9月28日、川が変色し、魚が死んでいるのを住民が目撃した。現地の人権活動家でカリタスの調整役を務めるユージン・ムレンガ氏によると、化学物質の排出は夜間に頻発し、他に水源がない住民はこの水を口にしているという。ザンビアのグリーン経済・環境省は、コンコラ・カッパー・マインズ(Konkola Copper Mines、KCM)の尾鉱(鉱石から銅を取り出したあとに残る泥状のくず)処理施設で配管が漏れ、汚染防止用のダムから水があふれたことが原因と説明した。
ザンビア環境管理庁(ZEMA)、KCM、地元の水道事業者が流出後に調べたところ、川の下流で濁度(水の濁りの度合い)と電気伝導率(水に溶け込んだ物質の量を示す値)の上昇が確認された。KCMは現地時間10月1日の声明で責任を否定し、ZEMAに通報したうえで事実に基づく調査を求めたとしている。
重金属など他の汚染物質の有無はまだ検査中で、同省はKCMに汚染防止ダムや尾鉱パイプラインなど関連施設全体の点検を命じた。罰則は環境管理法(Environmental Management Act)に基づいて検討されており、大規模な有害物質の排出などへの罰金の上限は28万クワチャ(約1万4000ドル)。
背景
KCMはザンビアで最も重要な銅産地の一つとされるカッパーベルト州で操業する大手銅生産会社で、英国のベダンタ・リソーシズが80%の株式を持つ。KCMは2008年の汚染事故をめぐり英国で訴訟を起こされ、2021年に責任を認めないまま和解が成立し、約2500人の住民に賠償金を払った。
ザンビア政府は2019年、脱税や未払いの債務、投資不足、環境汚染への懸念を理由にKCMを清算手続きに入れたが、KCMは2024年に操業を再開した。政府は今後、国内の銅生産量を3倍以上に増やす方針を掲げており、KCMも設備の増強と資金の立て直しを進めている最中だった。
日本にとっての意味
日本のイタイイタイ病訴訟では、住民側が2審勝訴の翌日に原因企業の三井金属鉱業本社と直接交渉し、公害防止協定で神岡鉱山への立入調査を企業に認めさせた。この調査は1972年以来毎年行われ、2021年現在で延べ約9000人が参加してきた。決着後も住民が現地を見続ける取り決めを残した例といえる。
日本の水質汚濁防止法は、事故時にまず知事の命令を経て罰則が働く仕組みで、違反すれば6月以下の拘禁刑か50万円以下の罰金(法人も同額)が科される。JOGMECは2023年8月にザンビア政府と覚書を結んだ。日本はザンビアの銅資源には資源確保の側として関わっている。