オックスフォード最初の発電所、ビジネススクールの研修拠点に れんがの外壁を残し、上の階は建て直し
英国の設計事務所ジョン・マカスラン・アンド・パートナーズが、オックスフォードで最初の発電所だったオズニー発電所を、オックスフォード大学サイード・ビジネス・スクールの施設に生まれ変わらせた。名前は「グローバル・リーダーシップ・センター」。教室や会議室に加え、120室の客室を備える。
何が起きたのか
オズニー発電所は1892年に開業した。事務所は発電所のれんがの外壁を修復する一方、金属板で覆われていた上の階は建て直し、建物を広げた。新しい部分もれんがで造り、元の建物になじませている。タービン小屋は切妻屋根が連なる姿を引き継いで建て直した。
タービンホールは3層吹き抜けの玄関と共用空間になった。事務所はここを、授業の外で気軽に話をするための「アゴラ(広場)」と呼ぶ。建物の中央には中庭を切り込んで光を入れ、上の3つの階を客室にあてた。客室の階は灰色の穴あき金属板で包み、差し込む日光を和らげる。ほかに食堂、図書室、ジム、テムズ川を見下ろすテラスがある。鉄骨のトラスやむき出しのれんが、天井クレーンは残し、工場らしい内装を保った。
背景
古い外壁を残すことは計画の前提だった。一方で、同事務所の建築家スティーブン・レッカコルヴィ氏によると、エネルギーの試算で、性能の低い軽い小屋を残すより建て直すほうが長い目で見て炭素の排出が少ないと分かったという。断熱と気密を高め、太陽光パネルと空気熱源のヒートポンプも入れた。
英建築誌アーキテクツ・ジャーナルによると、発電所は1968年まで動き、大学が1969年に取得した。2010年までは工学科の研究所として使われていた。改修費は6000万ポンドで、学校に名を冠するワフィック・サイード氏が1500万ポンドを出した。
日本にとっての意味
オズニー発電所の開業の前年、1891年に京都の蹴上発電所が運転を始めた。京都市によると、琵琶湖疏水の水を使う日本初の一般供給用の水力発電所で、日本で初めて営業した電気鉄道にも電気を送った。
蹴上でも、発電を終えた建物を大学が使った。京都大学化学研究所が刊行した概要によると、同研究所は京都市から旧蹴上発電所の建物を借りてサイクロトロン(粒子を加速する装置)を組み直し、1955年に完成させた。1964年には蹴上地区に原子核科学の研究施設を設けている。
オズニーも1969年から40年ほど、大学工学科の研究所だった。どちらの街でも、役目を終えた発電所の大きな空間は大学の実験の場になった。オックスフォードはそこから一歩進み、人が泊まって学ぶ場所に変えた。京都市によると、蹴上では1912年完成の第2期発電所の建物が今も残っている。