BIG、ティラナの公園の上に「雲」の複合ビル 細い柱で持ち上げ、地上は公園のまま
デンマークの建築事務所BIGが、アルバニアの首都ティラナに建てる複合ビル「ティラナ・ファウンテン・プラザ」の設計案を公表した。BIGは設計競技で勝ち、住宅、オフィス、ホテル、文化施設をこのビルに収める。白い円盤を何層も重ねた雲のような建物を、市中心部のリニア公園(「青年公園」の意)の上に細い白い柱で持ち上げ、地上の大部分を公共の空間として残す。
何が起きたのか
ガラス張りの外壁には、穴の開いた白い円盤が列をなして並び、内部の空間にも表情をつける。建物の両端には、縦の溝を刻んだガラスで包んだ曲面の棟を2つ置き、宙に浮かぶ上部と地上をつなぐ。
完成予想図では、ビルは公園の端、サミ・フラシェリ通り沿いに建つ。いまはレストランの集まる「タイワン・センター」と、隣の池「タイワン・プール」がある場所である。BIGはこの池を残し、水を集めてため、循環させて使い直す。周りには植栽の庭を設け、雨水を受け止める仕組みも加える。水を公園にまいて、一帯の洪水の危険を減らし、公園を冷やす狙いもある。
創業者のビャルケ・インゲルス氏は、目立とうと空に伸びる塔ではなく、公園の上に浮かぶ「住まいの雲」として都市の暮らしを考え直したと話す。雲のように下の広場に涼しい影を落とし、地面を空けることで、いまよりも広い公園と公共空間を生むという。目玉は上下を逆にした噴水で、水は地面から噴き上がるのではなく、夏の夕立や秋の霧雨のように上から降ってくる。
背景
近くには、MVRDVが改修して文化拠点に変えた旧博物館「ティラナのピラミッド」がある。BIGはティラナで蝶ネクタイ形のアルバニア国立劇場も建てている。この劇場をめぐっては2020年、1930年代の旧劇場の取り壊しに抗議した活動家らが拘束された。BIGはティラナ近郊の丘で、宗教の違いを越えて集うパビリオン群も計画している。
日本にとっての意味
公園と建物を重ねて土地を使う試みは、東京・渋谷にもある。三井不動産と渋谷区の発表によると、区立宮下公園は1966年、駐車場の上に造られ、東京で初めての屋上公園になった。2020年には、2004年の都市公園法改正で生まれた「立体都市公園制度」を区内で初めて使い、全長約330メートルの低い複合施設として建て直した。下の階に商業施設と駐車場を入れ、ホテル棟は18階まである。渋谷区によると、公園は4階部分が1万549平方メートルで、1階の遊歩道部分が2198平方メートルある。
渋谷は建物を下に置き、公園をその屋上に上げた。ティラナの案は逆に、公園を地面に残して建物を上に浮かせる。重ね方は正反対だが、どちらも同じ土地に公園と建物の両方を収めようとしている。