デザイン・雑貨・イベント

イスタンブールのドーム型婚礼会場、カフェに再生

トルコ の記事一覧 ・ ヨーロッパ

イスタンブールの住宅密集地バシャクシェヒル区で、十分に活用されていなかった婚礼会場のドーム建築が、地域住民のためのカフェ「Local People(ローカル・ピープル)」として再生した。設計を手がけたのは国際デザインスタジオのMitte。約2200平方メートルの空間の中心には柳のインスタレーションが据えられ、建物の円形プランとガラスドームという既存の構造をそのまま生かしている。

何が起きたのか

空間の中心には垂直に伸びる柳のインスタレーションがあり、集いと帰属のシンボルとして配置されている。柳の枝は建物の外にも伸び、屋外に自然な日よけを作ることで室内と周辺の風景をつなげている。

レイアウトはこの中心から同心円状に広がり、1階のメインフロアと円形の屋外テラス、上部のメザニンフロアをつないでいる。保存されたガラスドームの下には、アーティストのPınar Çetinと共同開発した特注のテキスタイル日よけパネルが取り付けられ、自然光を和らげながら天井に層状の表現を与えている。設計チームは「動線から席配置まで、空間内のすべての判断を円形プランのリズムと呼応させて考える必要があった」と説明している。

色調はコーヒーを思わせる濃淡のグラデーションを基調に、淡いアースカラーと白を組み合わせた。柱は金属仕上げで覆われ、ファサードには現地のブロックメーカーによるブリーズブロック(通気性のある格子状のブロック)を使い、採光を調整している。素材はほとんどを地元の協力会社から調達し、地域の職人技を重視したという。

背景

Mitteによれば、設計過程で最も重要な段階は、建物の幾何学を読み取り、それを機能的でバランスの取れた空間構成に翻訳することだった。

日本にとっての意味

日本でも、婚礼専用に建てられた施設をどう使い直すかという課題が表面化している。東京・白金台の八芳園は、半年を超える休館と7か月の改修を経て2025年10月1日にグランドオープンした。改修方針の第一に掲げたのが「既存建物の創造的利活用」で、バンケット会場を15から11に減らして1会場あたりの収容を拡大し、3階には終日営業のダイニングを新設して、婚礼事業のみにとどまらない運営をめざしている。

Local Peopleが建物の用途をカフェへ完全に転換したのに対し、八芳園は宴会場という用途を保ったまま建物の使い方を組み替えている。日本では建築基準法87条1項により、用途を変更する部分の床面積が200平方メートルを超え、かつ変更後が特殊建築物の用途にあたる場合、建築確認申請の手続が準用される。用途を保ちながら中身を再編する選択は、この規制上の高い壁を踏まえたものとも読める。