シエラレオネの浜辺で続く砂採取、浸食と観光への影響が懸念
シエラレオネの首都フリータウンの対岸、ルンギにあるマヘラ・ビーチで、建設用の砂を浜から直接掘り出す採取が続いている。世界銀行の調査によると、この浜だけで年間約5万立方メートルの砂が採取され、沿岸の浸食や観光への影響が懸念されている。砂の売買を仕切るのは、夫を亡くし生計を担う女性たちだ。
何が起きたのか
マヘラ・ビーチでは、潮が引くと若い男性が砂をセメント袋に詰めて浜に運び、積み上げる。その砂を女性たちが買い取り、トラック運転手に売り、砂はルンギやポートロコなどへ運ばれる。買い付けは低潮時のみで、満潮時は禁止されている。
砂の売買を仕切る女性の一人、アミナタ・カルグボさんは夫の死後、7人の子どもを育てるためこの仕事を始めた。シエラレオネの内戦(1991〜2002年)や病気で夫を失った女性が多い。
世界銀行が2026年3月に公表した評価によれば、マヘラ・ビーチの年間採取量は約5万立方メートルに上る。カルグボさんも「3年前に始めてから、浜の水の動き方が変わった」と変化を認めている。同評価は、沿岸での砂採取が土砂の流れを乱して浸食を進め、生態系や観光資源を損なう恐れがあると指摘し、監視の強化と採取量の明確な上限設定を求めている。
背景
砂は水に次いで世界で最も多く採取される天然資源で、建設需要の拡大とともに価値が高まっている。国連環境計画(UNEP)の調査も、世界的な砂需要が生態系の許容量を超えつつあり、海や沿岸からの大規模な採取が生物多様性の損失や沿岸コミュニティへの被害につながっていると指摘する。
シエラレオネでは砂の需要の61〜77%を国内の建設が占め、マヘラ・ルンギ地区はその約8%を担う。ほかに稼ぐ手立てが乏しい地域では砂の売買が重要な収入源になっており、女性たちは環境への負荷を自覚しながらも依存を続けている。
シエラレオネでは2022年制定の環境保護庁法や鉱業法で規制の枠組み自体はあるが、環境保護庁はマヘラについて場所ごとの評価や採取量の上限をまだ定めておらず、住民は立ち入り検査も許可の確認も罰則の適用もないとモンガベイに語っている。
日本にとっての意味
日本も建材用の砂利を海から採り続けているが、どこでどれだけ採ってよいかを制度の数字で絞ってきた。瀬戸内海では愛媛県が2006年度から採取を禁止し、岡山・広島・香川などの県も全面禁止としたため、瀬戸内海全体の採取実績は2008年度以降ほぼゼロが続く。
長崎県は県全体の年間採取限度量を定める基本方針を置き、採取船の位置を記録・照合して許可区域内かを確かめる仕組みを持つ。2025年には許可区域外で6,045立方メートルを採取した組合に対し、許可の効力を1か月停止する行政処分を行った。監視の強化と採取量の明確な上限が求められているマヘラとは対照的に、日本は数字と検査で線を引いている。