インドネシア・ブロモ山の国立公園で山火事、観光地を全面閉鎖
インドネシア東ジャワ州にあるブロモ・テンゲル・スメル国立公園(TNBTS)で山火事が広がり、州の災害対策当局によると、現地時間8月11日朝までに草原と森林899ヘクタール(2222エーカー)が焼失した。人気の観光地であるこの国立公園は、当局によって当面のあいだ全面閉鎖されている。
何が起きたのか
火災は現地時間8月3日、公園東側の入り口付近で発生した。公園長のルディヤンタ・チャヒャ・ヌグラハ氏は地元メディアに対し、人為的な原因が疑われると述べている。公園の広報担当エンドリップ・ワユタマ氏によると、出火場所は観光客が使う正式な道路ではなく、地元住民が近道として使う小道沿いだったという。「出火源は観光地ではなく、公道でもない」と同氏はDetik.comの取材に語った。この火災を受け、公園を管理するブロモ・テンゲル・スメル国立公園庁は、公園の全面閉鎖を発表した。
消火活動は難航している。国家災害対策庁(BNPB)の広報担当アブドゥル・ムハリ氏がアルジャジーラに語ったところでは、急峻な地形と強い風、そして出火場所が森林地帯であることから、消防隊が徒歩で現場に近づくのが難しい状況だという。地元メディアによれば、地上部隊は木の枝や放水ホースで消火にあたり、上空からは水を投下するヘリコプター3機と、水を散布するドローンが投入されている。
背景
公園内にはブロモ山、テンゲル山、スメル山という3つの活火山があり、その周辺に広がる火山性の土壌はもともと崩れやすく、植生にも脆弱な性質がある。インドネシアで地震・津波部門を率いた経験を持つ防災教育者のダリョノ・プルウィラ・サクティ氏はSNSで、今回のような激しい火災が「植生と土中の種子の蓄え(シードバンク)を破壊するだけでなく、水をはじく層を形成してしまう」と指摘している。この層ができると雨水が地中に染み込みにくくなり、今後の雨季にガリ浸食や地滑りのリスクが高まるという。また、火災による濃い煙は、活火山の監視に必要な目視観察を妨げる懸念もあるとされる。
インドネシアの気象気候地球物理庁(BMKG)は、2026年の乾季は例年より強く長引く見通しで、エルニーニョ現象の影響もあり山火事や干ばつのリスクが高いとしている。エルニーニョは太平洋赤道域の海水温が上昇する現象で、東南アジアの一部地域では降雨が減り乾燥しやすくなることが知られている。
日本にとっての意味
ブロモ・テンゲル・スメル国立公園は、インドネシアで最もよく知られた観光地の一つだ。今回の火災で899ヘクタールという広い範囲が焼失し、国立公園そのものが期限を定めずに閉鎖されている状況は、乾季の旅行計画を立てる際に無視できない材料になる。現地の乾季は数カ月続くとされ、今年はBMKGが例年より強く長引くと予告している以上、今後も同様の火災が起きる可能性はある。渡航を検討する場合は、出発前に現地の公園管理当局や旅行会社の発表を確認し、閉鎖状況が解除されているかどうかを確かめる価値があるだろう。