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露のウクライナ攻撃、文化財被害4500件超に 美術館141館も

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ウクライナ文化省は、ロシアによる軍事攻撃で損壊・破壊された文化遺産が現地時間の7月31日時点で1990件、文化関連施設が2625件に上ると発表した。合計4500件を超える被害の中には、国立ウクライナ美術館やオデーサ国立美術館を含む141の美術館・ギャラリーが含まれている。

何が起きたのか

ウクライナ文化省の集計によると、被害を受けたのは美術館・ギャラリー141施設だけではない。芸術系の教育機関196施設、そしてユネスコの世界遺産リストに載る史跡も含まれる。ウクライナの国土の24%で文化施設が損壊し、全国のコミュニティ文化センターのほぼ半数が被害を受けたという。国立ウクライナ美術館は首都キーウにある美術館、オデーサ国立美術館は黒海沿岸の港湾都市オデーサにある主要美術館で、いずれもウクライナの美術史を代表する収蔵品を抱える施設として知られる。この統計は、2022年2月の侵攻開始から続くロシアの攻撃が、軍事目標だけでなく文化的な蓄積そのものを長期にわたり損ない続けていることを示している。

背景

戦争下で美術館や史跡が被害を受けるのは、必ずしも意図的な標的にされた場合だけではない。ミサイルやドローンによる都市部への攻撃が続けば、近隣の建物も巻き添えになる。ただしウクライナ政府や国際的な文化財保護団体からは、ロシア軍による攻撃の中には歴史的建造物や博物館が集中する地区への攻撃も含まれるとの指摘がある。国際社会にはこうした事態に備えた枠組みがある。1954年に採択されたハーグ条約(武力紛争の際の文化財の保護に関する条約)は、戦争当事国に対して文化財への攻撃を控え、破壊や略奪から守る義務を課す国際法だ。ウクライナも締約国であり、被害の記録と公表は、将来の損害賠償請求や国際刑事裁判所などでの責任追及に向けた証拠固めという意味合いも持つとみられる。

日本にとっての意味

日本もこのハーグ条約の締約国だが、批准したのは採択から半世紀以上を経た2007年と遅く、背景には自国の戦争体験と文化財保護の関係を巡る議論があったとされる。日本は太平洋戦争末期の東京大空襲などで多くの文化財や街並みを焼失した経験を持ち、近年でも2019年の首里城火災のように、失われた文化的シンボルの再建に長い年月と費用をかけてきた。ウクライナで今起きている美術館や史跡の被害は、規模も背景も異なるとはいえ、一度失われた文化財が容易には取り戻せないという点で、日本の経験と重なる部分がある。また日本国内には修復や保存の専門技術を持つ機関や研究者が存在し、ウクライナの文化財修復支援に関わる動きも一部で報じられてきた。軍事や外交のニュースの陰に隠れがちなこうした被害の集計は、戦争が社会に残す傷跡の別の側面を伝えるものといえる。