気候・災害

世界の森林火災、20年前の2倍の規模に 国際分析が警鐘

世界の記事一覧

森林監視団体グローバル・ネイチャー・ウォッチ(Global Nature Watch、旧称グローバル・フォレスト・ウォッチ)が、過去25年間の世界の森林火災データを分析した結果を公表した。森林火災による焼失面積は現在、20年前の約2倍に達しており、近年の大規模な火災シーズンはもはや「例外」ではなく「新たな標準」になりつつあるという。

何が起きたのか

同団体の共同ディレクター、エリザベス・ゴールドマン氏は、Mongabayのポッドキャストでこの分析結果を説明した。同団体が記録を始めた2001年以降のデータで見ると、直近3年間が最も焼失面積の大きい3年間だったという。2025年は前年の2024年に比べると焼失面積は減少したものの、それでも約1100万ヘクタール(約2700万エーカー、中米グアテマラの国土に匹敵する面積)の森林が焼失し、記録開始以来3番目に大きな被害となった。

特に被害が大きかったのがカナダで、2025年の世界全体の火災による森林消失のうち、実に半分がカナダで発生した。これはカナダにとって2023年に次いで記録開始以来2番目に深刻な火災シーズンだったという。ゴールドマン氏は、2025年の焼失面積の減少を楽観視すべきではないと強調する。Mongabayの創設者でCEOのレット・バトラー氏も別の分析で、大規模な商業農業や気候変動という森林消失の根本要因は変わっていないと指摘しており、ゴールドマン氏もこの見方に同意している。

背景

ゴールドマン氏によれば、熱帯地域の森林火災はそのほとんどが人為的な出火によるものである一方、カナダなど北方林(ボリアル林)地域の火災は必ずしも人の手によるものではないという。つまり森林火災と一口に言っても、地域によって原因の構図が大きく異なる。熱帯では農地拡大を目的とした野焼きなどが引き金になりやすいのに対し、北方林では気候変動による高温・乾燥化が自然発火のリスクを高めているとみられる。

国際的に気候変動への「本格的な対策」が取られない限り、こうした傾向は続くとゴールドマン氏は警告する。一方で各国が今すぐ地域レベルでできることもあるとして、間伐や計画的な火入れ、防火帯の設置など、森林を皆伐せずに可燃物の量を管理する手法を挙げた。また、先住民の権利や資源管理能力を強化することも、健全な森林生態系を保つうえで重要だと述べている。以前のMongabayの取材で森林科学者スザンヌ・シマード氏の研究を紹介したエリカ・ギース氏によれば、森林の被覆率を60%程度に保つことで森林内の複雑な生態系や水循環が維持され、土地の乾燥を防げるとの調査結果があるという。

日本にとっての意味

今回のデータは、個別の山火事のニュースの背後にある構造的な傾向を数字で裏付けるものだ。近年報じられてきたカナダの大規模火災は、単発の異常気象ではなく、20年単位で焼失面積が拡大し続けている流れの一部であることが分かる。日本は森林火災の直接的な被害こそ少ないが、輸入木材や紙製品の供給元である北米・東南アジアの森林が影響を受ければ、木材価格や供給の安定性に波及する可能性がある。また、大規模火災は大気中の二酸化炭素排出量を増やし、地球全体の気候変動を加速させる要因にもなるとみられる。