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モロッコ、セウタ国境を強化 SNSで越境呼びかけ再燃

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モロッコ内務省は現地時間12日、スペインの飛び地セウタとの国境で警備を強化したと発表した。SNS上でここ1週間以上、現地の8月15日に国境が「開く」との投稿が拡散しており、再び大量の越境が起きることを警戒した措置とみられる。

何が起きたのか

モロッコ内務省報道官のラシド・エルハルフィ氏は「不法越境のあらゆる試みに対抗し、参加を試みる者を全員阻止するため、必要な措置はすべて講じた」と述べた。今回の警備強化は、モロッコ北部の町フニデクとセウタを結ぶ国境検問所が現地の15日に「開放される」とするSNS上の呼びかけが再燃したことを受けたものだ。同様の呼びかけは、セウタと並ぶスペインのもう一つの飛び地メリリャへの越境も促しているという。セウタとメリリャは、欧州連合(EU)がアフリカ大陸と陸続きで接する唯一の領域である。

モロッコ当局は、違法な越境を扇動する投稿の発信者に対して法的手続きを取る方針も示した。7月末には、やはりSNSでの呼びかけをきっかけに、数日間で約7万2000人(大半はモロッコ人)がセウタへ不法に流入する事態が起きている。多くはその後モロッコ側へ送還されたが、セウタの地元当局によると現在も約2000人が域内にとどまっており、うち約1000人はスペインの法律上送還できない保護者不在の未成年者だという。モロッコ内務省はスペイン側に、この子どもたちの送還手続きを急ぐよう求めている。7月の越境では公式集計で少なくとも80人が死亡しており、人権団体はさらに多い数字を報告しているという。

背景

セウタとメリリャは、モロッコが領有権を主張する一方でスペインが統治する都市とされ、EUの対アフリカ国境管理の最前線に位置づけられてきた。両都市を隔てるフェンスは厳重な警備で知られ、集団での越境や強行突破が繰り返し起きてきた場所である。モロッコとスペインは移民の流出入をめぐって協力関係と緊張関係を行き来してきた歴史があり、モロッコ側が国境管理を強めるか緩めるかは、両国関係や外交上の思惑に左右されるとの指摘もある。今回目を引くのは、越境を促す動きの発端が、SNS上の発信元を特定しにくい呼びかけだった点だ。7月末の大量越境も同様にSNS発の呼びかけが引き金になったとされ、今回の現地の15日をめぐる投稿も、同じ手口が繰り返された可能性がある。モロッコ当局が呼びかけの発信者を法的に追及する方針を示したのは、こうした匿名・分散型の扇動に対する統治の難しさを反映しているとみられる。

日本にとっての意味

セウタやメリリャは日本から地理的に遠く、日本人の生活に直接関わる場面は少ない。しかし、SNS上の呼びかけだけで数万人規模の集団移動が短期間に組織され、国境管理当局が後追いで対応を迫られるという構図は、国境や治安の管理が情報流通のスピードに追いつきにくくなっている実例として読む価値がある。日本でも、災害時のデマ拡散や、特定の集会・行動をSNSで呼びかけて短期間に人を集める動きが問題になることがあり、発信元の特定や真偽の確認が追いつかないという課題は共通している。今回のような「新しい引き金」による越境呼びかけが今後も繰り返されるのか、モロッコとスペインの対応がどう変化していくのかは、国境管理と情報空間の関係を考えるうえで注視する意味がある。