ザンビア大統領選、開票が暴力で一時停止 その後再開
ザンビアの選挙管理委員会は現地時間14日、選挙関連の暴力を理由に全国で停止していた開票作業を再開したと発表した。委員会は治安当局との協議と治安状況の確認を経て、「選挙プロセスへの脅威は抑え込んだ」と説明している。大統領選の最初の開票結果は現地時間14日午後10時(協定世界時2000時、日本時間15日午前5時)に発表される見通しだという。
何が起きたのか
ザンビア選管は、選挙職員を狙った暴力行為の報告や、投票箱から記入済み投票用紙が盗まれたとの情報を受け、現地時間14日に開票を全国規模で一時停止していた。停止は大統領選だけでなく議会選の集計にも及んだ。委員会のムワンガラ・ザロウミス委員長は、法執行機関との協議を経て安全対策が整ったとして、集計再開を決めたと述べた。選挙妨害を試みたとして、元政府高官を含む複数の人物が拘束されたことも明らかになっている。
現職のハカインデ・ヒチレマ大統領は2期目を目指して立候補しており、自身の陣営が「心強い結果」を得ているとして支持者に平静と忍耐を呼びかけた。一方、最大の対立候補であるブライアン・ムンドゥビレ氏は大統領選での勝利を主張し、自らの連合が議会でも過半数を獲得したとしている。今回の選挙には約870万人が有権者登録をしており、大統領選に加え議会選、地方選も同時に行われた。選挙戦は、政治的自由への懸念や逮捕、与野党間の緊張を背景に実施された。
背景
ザンビアは1991年に複数政党制へ移行して以来、平和的な政権交代を重ねてきた国として知られ、それだけに今回の混乱は国内外から注視されている。ヒチレマ氏の政権は、前政権下でザンビアが陥った債務不履行(デフォルト)の後始末として、大規模な債務再編合意をまとめ、国際通貨基金(IMF)の支援プログラムを復活させて経済を成長軌道に戻したとされる。ただし世界銀行の統計によれば、国民の7割以上が1日3ドル未満で生活しており、貧困や失業、食料品の値上がりへの不満は根強いとみられる。こうした生活実感と、政権が誇るマクロ経済の実績との落差が、今回の選挙で有権者の判断を左右した可能性がある。開票停止と再開という異例の展開は、選挙結果そのものへの信頼性にも影を落としかねず、最終結果がどのように受け止められるかが今後の焦点になるとみられる。
日本にとっての意味
ザンビアは世界有数の銅産出国であり、電線やモーター、電気自動車(EV)のバッテリー関連部材など幅広い用途を持つ銅の国際的な供給網の一角を占めるとみられる。大統領選の開票が一時停止し、与野党双方が勝利を主張する状況は、選挙後の政権の正統性や政策の連続性への不透明感を生みやすく、鉱山への投資判断や既存の権益、供給契約の先行きに影響しうる。資源価格や供給網は世界市場でつながっているため、ザンビア国内の政情不安が直接日本の店頭価格に表れるとは限らないが、銅の国際価格や調達リスクを通じて、間接的に日本の産業活動に波及する可能性はある。また、ヒチレマ政権が進めてきた債務再編やIMFプログラムの復活は、財政破綻に陥った新興国が国際社会の支援を得て立て直しを図る事例として、日本の途上国支援や国際金融の議論にとっても参考になるといえる。