ザンビア大統領選、集計一時停止経てヒチレマ氏が約60%で再選確定
南部アフリカの銅資源国ザンビアで、現職のハカインデ・ヒチレマ大統領が約60%の得票で再選を果たしたことが確定した。投票後には選挙スタッフへの襲撃のあと全国的に開票集計が停止するという異例の事態があり、野党側は不正の疑いを訴えていた。緊張をはらんだ末の再選確定となる。
何が起きたのか
投票は現地の8月13日に行われた。ヒチレマ氏に挑んだ対立候補は、元州担当閣僚で今回が初出馬となるブライアン・ムンドゥビレ氏(55)を筆頭に13人に上った。ムンドゥビレ氏は5月に立候補を表明していた。
投票をめぐっては、選挙スタッフが襲撃され、記入済みの投票用紙が盗まれる事件が発生したあと、全国的に開票集計が停止されるという、これまでに例のない事態となった。投票後にはさらに緊張が高まり、当局は野党の有力者を含む12人近くを、銃撃を伴う強制捜査の末に拘束した。政府側はこの拘束について、選挙をめぐる民兵や武装勢力の活動に関与した人物だとしているが、ムンドゥビレ氏が率いる政党NRPUPはこの主張を否定している。
ザンビア選挙管理委員会は日本時間の18日、結果を発表した。ヒチレマ氏の得票は約60%、ムンドゥビレ氏は38%近くに達した。226ある選挙区のうち5選挙区の集計がまだ終わっていないとしつつ、同委員会のムワンガラ・ザロウミス委員長は「残る結果が全体の結果に大きな影響を与える可能性は低い」と述べた。
背景
投票前から、政治的な空間の縮小が指摘されていた。野党や市民団体は、選挙運動への制約などを挙げて警鐘を鳴らしていた。国際・国内の監視団も現地の週末(8月15〜16日)に、こうした状況が不公平な競争条件につながったとの見方を示した。監視団のこうした指摘は、不正の証拠を示すものではなく、選挙前後の環境についての評価であることには留意が必要だ。ヒチレマ氏の再選は事前から広く予想されていたとも伝えられている。
この選挙は、ヒチレマ氏の1期目に対する審判という色合いが強かった。同氏の政権下でザンビア経済は財政難の時期を経て成長軌道に戻ったとされる。得票が過半数に達したことで、制度上、決選投票は実施されないとみられる。
日本にとっての意味
ザンビアは銅の主要産出国の一つとされる。銅は電線や電子機器、電気自動車(EV)向けのモーターなど幅広い製品に使われる基礎素材で、その国際価格は需給や産地国の政情によって左右される。産銅国での政治的混乱や治安の悪化は、遠く離れた日本の製造業のコストや調達計画にも波及しうる構図がある。また、財政再建の途上にあるとされる新興国の政権が、選挙を経て安定的に継続するかどうかは、国際的な資金の流れや援助・投資判断にも関わる材料となる。今回のように開票集計が一時停止するほどの緊張が生じつつも、選挙管理委員会が結果を確定させて再選が決着したという事実は、資源をめぐる国際情勢の一断面として押さえておく価値がある。